■“酒を飲みながら交わした世間話”がスパイ罪に
鈴木氏は実際にスパイ罪に問われるような行為を行っていたのでしょうか。
鈴木氏
「私は2014年12月4日に友達と2人で中国に行って中国外務省の人間と3人で食事をしました。その時にいろいろな話をしました」
酒を飲みながら交わした世間話。そんな認識だったという。

鈴木氏
「食事の際に私は、朝鮮の張成沢さんが殺されている話があるがどうなんだ、ということを聞きました」

張成沢氏とは北朝鮮の金正日氏の妹の夫で正日氏の側近を長年務めた人物。しかし、2013年12月金正恩氏によって処刑されたと朝鮮中央テレビは伝えました。

「凶悪な野心家、陰謀家であり反逆者である張成沢を死刑に処すると決めた」
(朝鮮中央テレビ 2013年12月放送)
当時、平壌市内で市民が処刑を伝える新聞を読む様子も併せて報じていました。

鈴木氏
「私は張成沢さんどうしたか知っていますか先生は?と聞きました。あくまでもどういう認識でいるのかなということを聞いただけなんです。酒を飲みながら。その人は私に『知りません』と言いました。ということは私は何の情報ももらっていないんです」

裁判は非公開で行われました。裁判所は鈴木氏が日本政府の機関の任務を受け、中国政府の情報を提供したなどとして、スパイ行為を認定。懲役6年の判決を下しました。

ーー任務を受けたかどうか?
鈴木氏
「私は任務を受けたという認識はないです。役所に話はしました。お酒を飲みながら。しかしそれはあくまでも向こう(日本政府)から言われたものについて調べて、それをレポートにして報告した。とは違いますよね」
鈴木氏は日本政府と意見交換はしたものの任務は受けていないと主張しています。
6年の刑期を終えて帰国した鈴木氏は、今何を思うのでしょうか。

鈴木氏
「第2の私達のような人を出してもらいたくない。私は今の中国のやり方に激怒していますよ。しかしやはり中国と日本は切ることができない関係があるんだから、いかにそれをうまくやっていくか。日中国交正常化50周年となるも本来はこの50周年を総括をし、今後に向けての一つの方針をお互いが相談をして決めていかなきゃいけない。大事な年です」