新潟県新発田市で2014年、20歳の女性をわいせつ目的で連れ去り殺害したなどとして罪に問われている、喜納尚吾被告の裁判員裁判が新潟地裁で開かれました。
喜納被告は起訴内容を全面的に否認し、無罪を主張しました。
この裁判の争点について記者解説です。


Q喜納被告の印象は?
【記者】喜納被告は髪を短く刈り上げ、グレーの作業着に身を包んで法廷に姿を現しました。20年に逮捕された当時よりもさらにほっそりとしてやせた印象です。


Q今回の裁判の主な争点は、『事件性』と『犯人性』とされるが、この2つの争点について、検察側と弁護側は17日の初公判でどう主張した?


【記者】検察側は女性は何者かによって殺害され、喜納被告が直接関与したと主張しました。


一方で弁護側は女性が亡くなったのは事故または自殺の可能性があり、仮に事件だとしても、喜納被告は事件に関わっていないとして無罪を主張しました。

Q今後の裁判で注目するポイントは?

【記者】検察側の立証にあたって難しい点があります。
今回、検察側は喜納被告を殺人など3つの罪で起訴していますが、実行犯が喜納被告だと言える直接的な証拠はありません。

さらに喜納被告は起訴内容を否認しているため、検察側は今後、遺留物や目撃情報など状況証拠を積み重ねることで、喜納被告が女性殺害に至った経緯を立証していく必要があります。


Q検察側が示している証拠とは?

【記者】まず『事件』だと言える証拠です。検察側は女性の死亡した原因は「水死」か「窒息死」で、遺体が発見された小川については、水深や水流の状況を見ても大人が1人で溺れるようなものではなく、女性が誰かによって「殺された」のだと主張しました。


Q検察側の主張する犯人と喜納被告が結びつく証拠は?

【記者】主に2つ示しました。1つは女性の車のハンドル部分から喜納被告と女性の混合されたDNA型が検出されたことです。2つ目は事件後、喜納被告が現場近くでタクシーを呼ぶなど、近くに住む住民からの目撃情報があることです。


Qこれに対して弁護側の主張は?

【記者】「分からないことが多い」と主張しています。女性がいつどのような形で亡くなったのか、どうやって発見場所の小川まで行くことになったのかなど8つの疑問が残るとしています。
このようなことから、これはそもそも事件ではなく、仮に事件だとしても喜納被告は事件に関与していないとして、喜納被告の無罪を主張しています。