荒れた山中に眠る石積み造りの「久保原隧道」

続いても、同じ恵那市にある渡邊さんお気に入りの廃隧道へ。県道406号が誕生したことで廃道となり、そこには特徴的な造りが残る廃隧道が眠っていると言います。

県道406号の脇にある細い道を進むと、現れたのは、大正13年(1924年)竣工の「久保原隧道」。平成2年(1990年)に現在の県道が供用開始されるまで使われていたそうで、坑口付近には崩れ落ちた石が転がっています。

(道マニア・渡邊美樹さん)
「ここは石積みの隧道。明治時代はレンガ造り、昭和時代はコンクリート造りが主流だったが、ここは石積み造りが主流だった時期に造られた」

この隧道の扁額には他ではあまり見られない特徴があるようで、「扁額に『飯羽間(いいばま)』と地名が書いてある」と渡邊さん。

隧道は町と町の境目にあることが多く、同じ隧道でも扁額には地名が書いてあることがあるそう。そのため、この「久保原隧道」も山岡町久保原側には「久保原隧道」、岩村町飯羽間側には「飯羽間」と、扁額には地域の名前が書かれています。

また、石の積み方にも特徴があり、「“スプリングライン”を境に、積み方が変わっている」と渡邊さん。アーチの直線部分とカーブが始まる境目の“スプリングライン”で、石の積み方が切りかわっていることが分かります。

近くの集落の方曰く隧道内に電気がなく交互通行ができないほど狭かったが、バスが通り通学路にも使っていたとのこと。住民にとって、かつては貴重な交通網だったことがうかがえます。

2024年5月7日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より