新潟県長岡市で生まれたあるせんべいが、おかゆのように消化・吸収がよく、5年間の長期保存ができるため災害時の備えとしても注目されています。商品化したのは中越地震で被災した地元企業です。せんべいに込められた思いとは?

【岩塚製菓 飯塚工場 星野辰宏 工場長】「こちらが実際に使用しているおコメ。原料米ですね。日本のおコメ100%にこだわっています」

こだわりは“国産米100%”。精米したてのコメをせんべいをつくる直前に粉にするため、本来の風味が際立つそうです。

長岡市にあるせんべい工場…

こちらで作られていたのが、その名も『おかゆみたいなせんべい』です。

おかゆのように消化・吸収がよく、お腹に優しいせんべいで、赤ちゃんからシニアまで安心して食べられるそうです。

商品化したのは長岡市の米菓メーカー 岩塚製菓のグループ会社「新潟味(あじ)のれん本舗」です。

【新潟味のれん本舗 浅川慎一 代表取締役】「赤ちゃんからご高齢の人まで(食べられる)をひとつのコンセプトにしていますので、どなたでも満足いただける・食べられるものを作りたいという思いから、『アレルゲン28品目不使用』と」

「誰でも食べられるものを」…その思いを強くしたのは2004年の中越地震でした。

【新潟味のれん本舗 浅川慎一 代表取締役】
「機械が倒れたり、横に大きくずれたり、電気も含めて止まりますので、惨状すごかったですね」

中越地震で工場のあった旧越路町は震度6弱の揺れに見舞われました。機械が壊れ、天井が落ちるなど壊滅的な被害を受け、一時は、会社の存続が危ぶまれるほどだったといいます。

また、避難所では…

【新潟味のれん本舗 浅川慎一 代表取締役】「満足な食べ物がないということを体感しました。それこそパンをお湯につけて食べるですとか、そういうシーンも目の当たりにしましたし…」

当時の被災経験をもとに生まれたせんべいは、不安や心配で食べ物が喉を通らない状況でも食べられるよう、溶けるような口当たりに。さらに製造から『5年』の長期保存を可能にしたということです。

【新潟味のれん本舗 浅川慎一 代表取締役】「口に何か入れられるというのは、情緒的に心身を支えるところに非常に大きな役割を持つと思うんですね。(食べる人に)どれだけ気持ちを含めて寄り添えるかということを中心に考えて、取り組んでいきたいと思っています」

過去の被災地からあすへの備えを届けます。