片側1車線の道路で再三追い越し バスとも衝突しそうに

検察側は冒頭陳述で、事故があった23年9月4日、大竹被告は午前11時に予約をしていた白河市の病院に向かうため、南会津町の自宅を午前10時に車で出発、そして事故に至るまでの運転の様子を明らかにした。

大竹被告がこの日、走行した道路は、一部が制限速度40キロの国道121号と、制限速度が50キロの国道289号。検察側は、大竹被告が最大で時速158キロというスピードで走行し、片側1車線の道路で再三追い越しを行い、観光バスとも衝突しそうになったと指摘した。そして、午前10時24分、西郷村の国道289号で湿潤した道路の左カーブを曲がり切れず横滑りし、車線をはみ出し対向車に衝突。その時の速度は時速104キロとみられるという。検察側は、自己中心的な行動だったと非難した。

5日の裁判では、事故の分析、鑑定を請け負った専門家が証人に立ち、道路の状況から、現場のカーブは時速約75キロを超えると車の制御が効かなくなると証言した。

鍼灸院の予約時間に間に合わない…

一方、弁護側は冒頭陳述で大竹被告が慢性的な腰と膝の痛みで白河市の鍼灸院に通っていたと明かし、予約時間に間に合わないという焦りから事故を起こしたと説明した。

大竹被告の裁判は、3人の裁判官と8人の裁判員による裁判員裁判で行われ、弁護側は危険運転致死罪の中で量刑が重い飲酒やあおり運転でないことや、被告が更生するためにはどういった環境が望ましいのかといった観点も含めた量刑への判断を求めた。