「プーチン大統領は、アメリカ経済の最高管理者」
ウクライナと一層の支援を強調するヨーロッパ各国との溝を深めるアメリカ。これはロシアにとって笑いが止まらない展開に違いない。
プーチン政権に外交のアドバイスを行うこともあるというロシアの外交アナリストは、イギリス・フランスが中心となってウクライナ支援に力を注ぐ現状を見て過去の例を挙げて語った。

ロシア外交アナリスト ドミトリー・トレーニン氏
「1956年のスエズ危機を例に挙げたい。エジプトによるスエズ運河の国有化を巡りイギリスとフランスがイスラエルと共にエジプトに武力衝突を引き起こした。(中略)ソ連は核兵器で英仏両国を脅した。アメリカは(英仏を)支持せず、その結果として英仏はスエズ運河一帯から軍を撤退せざるを得なかった。そしてこれは英仏の外交的野心に大きな打撃を与え、実際に両国とも大国ではなくなった…」
トレーニン氏はイギリスとフランスの目論見はアメリカ、ソ連の支持を得られなかったことで失敗しに終わったことを例に挙げ、今回もアメリカ抜きのイギリス・フランスの計画は国の威信は失墜させるだろうと話した。
ロシア外交アナリスト ドミトリー・トレーニン氏
「プーチン大統領は今ロシアはアメリカとの対話を非常に真剣に受け止めていて、それを妨害する試みには対抗すると表明した。ロシアが望むのは制裁を解除するか少なくともそのプロセスを開始することだ。利益に基づいてアメリカとの関係を正常化することだ。(中略)経済分野での米ロ協力関係を再構築するチャンスがある。特にレアアースを含めて課題になっている。プーチン大統領は外交の最高責任者、軍の最高司令官だけでなく、アメリカ経済の最高管理者として行動している。こうしたことはアメリカにとって重要なことなのだ」
筑波大学 東野篤子 教授
「トレーニンさんにインタビューしたのは慧眼だと思う。つまり、これがこれからのロシアのナラティブ(作り話)なんだと。スエズ危機の話をしていたが、これはイギリスとフランスに対抗してアメリカとソ連が一緒になって別の秩序を作ろうとした。この時はイギリスやフランスが植民地主義根性で他の国の権益を犯そうとした…。それに対しアメリカとソ連が立ち向かった。でも今は他の国の主権を犯しているのはロシア。なので自分を新しい秩序になぞられるのは片腹痛いですが…」