戦時中、水没事故に見舞われた、かつて山口県宇部市にあった長生炭鉱。

犠牲者の遺骨を遺族に返そうと活動する市民団体が日本政府に支援を求めました。

遺骨の返還へ活動する市民団体、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」が厚生労働省に要請しました。

太平洋戦争のさなか、宇部市にあった長生炭鉱で水没事故が起きました。

多くの朝鮮半島出身者を含む183人が犠牲になり、遺骨は、今も海底に取り残されたままです。

刻む会は、遺骨発見へ1月末から3日間にわたって炭鉱内の潜水調査をしましたが、遺骨はまだ見つかっていません。

刻む会は、今後調査を安全に続けるための坑口の補強や、坑道内の濁った水に凝集剤を入れて透明度を上げる作業などへの経済面・技術面での支援を要請。

日韓国交正常化60周年の記念事業として遺骨収集を共同で進めることなども日本政府に求めました。

日本政府は、遺骨収集は「安全性に懸念がある」などとし、支援について前向きな回答は得られなかったということです。

一方で、「日韓で遺骨の早期返還は重要という共通認識を持っていて、緊密に連携する」旨の発言があったということです。

長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会・井上洋子・共同代表
「ここに1片のご遺骨が見つかった場合は、大きな変化が生まれるのではないかなという期待というか、そういうものは今日の話し合いの中でも含めて思ったところです。」

刻む会は、今後、海に突き出す排気筒、ピーヤの底に積み重なって遺骨捜索の妨げとなっている金属を取り出す予定です。その後、韓国からのダイバーを合わせた3人がピーヤから坑道に入れないかを探る調査などを行う予定です。