旧日本陸軍の青年将校らが反乱を起こした1936年(昭和11年)の「二・二六事件」で、当時の東京朝日新聞への衝撃を目撃した記者の書簡が見つかり、富山県の高岡市立博物館に寄贈されました。
見つかったのは富山県高岡市福岡町(当時の福岡町)出身で、当時の東京朝日新聞で記者をしていた大野伊吉さん(当時27)が、勤務先で襲撃を受けた様子を便せん8枚(約1500字)に記した書簡です。事件直後の3月2日付けで富山の父親に送付したものです。

人影ない社内で乱暴を働き、後悠々と点呼
二・二六事件は1936年(昭和11年)2月26日、陸軍の青年将校らが起こしたクーデターで、4日間にわたり政府の中枢を占拠したほか、政府要人を襲撃しました。
書簡のなかで大野さんは「物々しい武装で社内へ蹴り込み銃をつきつけ全社員全部を屋外へ追ひ出し印刷機の一部活字を全部破壊シ、人影ない社内で乱暴を働き、後悠々と点呼を行ひ見る者をして全く唖然たらしめました。幸小生達は早く難を逃れ別に事故は有りませんでした」と襲撃を受けた様子を生々しく伝えています。
