市は立ち入り調査せず 担当者「手が回らない現状も」

大和市はこうした報告を受けながら立ち入り調査に入らず、虐待に該当するかの判断すら行っていませんでした。公表もしていません。また、園も保護者への説明を行っていません。

園児の保護者
「園長(当時)が辞めたのも急だった。理由も聞かされずという感じだった」

取材に対し、市の担当者は「園長がすぐに辞め、再発防止策も示されたことなどから、虐待かどうかの判断もせず事案を終結した。他の案件もあり、手が回らない現状もある」と答えました。

大和市長は、20日の定例会見で…

大和市 古谷田力市長
「今回このような不適切保育があったということは、あってはならないこと、大変重く受け止めている。しっかりと公表していくべきだと思う。むしろ積極的に大和市が園に対して指導して、必要であれば市も公表していきたい」

専門家は市の対応をこう批判します。

「保育園を考える親の会」顧問 普光院亜紀さん
「このレベルになるともう虐待なので、監督責任を負っているわけですから大和市は。大和市が監督しないと誰もする人はいないので、もっと強く介入していただきたい」

園側とフランチャイズ契約を結んでいるSOUキッズケアは、「あってはならない行為で、加盟園で不適切保育が起きたことは非常に遺憾」などとコメントしています。

小川彩佳キャスター:
大和市は「手が回らない現状もある」ということですが、この問題をどうご覧になりますか?

教育経済学者 中室牧子さん:
保育所は法令に基づいての監査を受ける義務があります。この監査は、行政の担当者が保育所に直に行って、現地視察をするということが義務付けられてるわけですが、行政側の人員不足もあって、この実施率が極めて低い。例えば、東京だと10%を切っていると言われています。

2022年に静岡県の裾野市で不適切保育の問題が指摘されたときも、この実地検査をちゃんとやるべきだという話がありましたが、結局時間が経過して、問題は全く解決されてないことが非常に残念だと思います。

日本の保育所は、設置するときにはいろんなチェックをしますが、一旦設置されたらその後に行政のチェックが行き届かないことがあるので、そこはしっかり改善していく必要があります。

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<プロフィール>
中室牧子
教育経済学者 教育をデータで分析
著書「科学的根拠で子育て」