おととし1年間で県警へ届け出のあった認知症による行方不明者の数は118件でした。行方不明者の数の増加に伴って、那覇市で早期発見につなげるための捜索模擬訓練が行われました。捜索のキーワードは「入りやすくて、見えにくい場所」です。

那覇市首里大名町で開かれた模擬訓練。地域で暮らす高齢者が行方不明になった場合に備え「県認知症行方不明者家族の会」の協力のもと捜索方法について学びました。
大名地域では、訓練に先立って身近にある「入りやすくて、見えにくい」場所を
まとめた地図を作成。この地図をもとに行方不明者の情報を確認しながら、捜索する場所を決めていきます。

▼県認知症行方不明者家族の会 安慶名達也 代表「入りやすくて見えにくい。そこは人の意識がとても薄れた場所です。私のお母さんもいなくなって今年で14年ですね。全然見つからないです」

県認知症行方不明者家族の会代表の安慶名達也さん。14年前、認知症を患う母親の静枝さんが行方不明になりました。2011年5月26日、当時66歳だった静枝さんは1人で沖縄市の自宅を出て行ったきり今も見つかっていません。

▼県認知症行方不明者家族の会 安慶名達也 代表「(毎年)5月26日というのが私たち家族にとってはお葬式のような形になっているのではないかとふと思うことがあるんですね。しかし骨も見つからない、どこに行ったかもわからない。自分とは関係ないっていう無関心さっていうのが多く広がってきているのではないかなと」
おととし、県警に届け出のあった行方不明者のうち、認知症とその疑いのある人の数は118人。過去5年間で最多となりました。全国的にも増えていて、同じ年に過去最多の1万9039人を更新しています。
模擬訓練の数日前、打ち合わせの日にも安慶名さんのもとに高齢者の行方不明者情報が寄せられました。捜索によって高齢者は無事発見されました。
▼県認知症行方不明者家族の会 安慶名達也 代表「もう、感無量です。
また、命が救われたっていうことですね」
安慶名さんは自身の経験から行方がわからなくなった人たちを1人でも多く助けたいと模擬訓練や講演会に取り組んでいます。