超人たちが34年ぶりに東京へ!今年9月に開幕する「東京2025世界陸上」を前に、これまで歴史に名を刻んだ伝説のアスリートたちを紹介します。今回はミラクル・ジャンパー、ドナルド・トーマス(バハマ、当時23)です。バスケットボールから転向し走高跳の競技歴約1年半のトーマがまさかの跳び方で金メダルを獲得しました
元バスケ選手が走高跳に挑戦!?驚異の跳躍力で世界陸上に出場
世界陸上の1年半前、2006年1月までバスケットボールの選手だったトーマス。彼の驚異的な跳躍力を目にした友だちに誘われ、試しに高跳びをしたところ2m14を越えてしまい、2日後の大会に急遽エントリー。バスケットボールのユニフォームのままで跳び、なんと2m22を跳んでしまったそうです。そこから本格的に走高跳の選手へ転向しました。
無名の選手がまさかの好記録!世界陸上の代表に
2007年世界陸上大阪大会への出場権を手にしたトーマス。そもそも陸上すらやっていない、全くの無名の選手が突然世の中に出て約1年半…。しかも2007年のシーズンは自己ベストを12cmも伸ばし、自己ベスト2m35まで記録を更新していたのです。
踏み切りも合わず…フォームも出来てない
2m16をパスし、失敗しながらも2m21を2回目で成功させたトーマス。踏み切りも合わず、跳べば足をばたつかせ、きれいなフォームではないものの身体能力の高さでカバーし、次々とジャンプを成功。実況も解説者も驚きの快進撃の中、2m33を3回目で成功し、4位に着けました。次の跳躍2m35を1回で跳べれば大逆転でトップに立つことになるのですが…。
必殺!垂直三段跳びで奇跡が起こる!!まさかの金メダル獲得
手拍子が響く中、会場のボルテージは最高潮に。短く息を吐いたトーマスが見つめる先にあるのは2m35のバー。少し体を後ろに引き、9歩の助走から左足でジャンプ!右、左、右と足を動かしつつ、まるで空中で三段跳をするようなフォームで体はバーの上を通過。今までで一番きれいに“垂直三段跳び”を決め、ミラクルジャンパー、トーマスは世界の頂点に立ちました。その後も走高跳を続けたトーマスは2016年に自己ベストを2m37に更新。2024年のパリ五輪にも出場(2m15を失敗し予選落ち)しました。

【陸上豆知識】Q.走高跳、棒高跳は何回まで失敗できる?
走高跳も棒高跳も3回連続で失敗しなければ、競技を続行できます。また成功するまで同じ高さを跳ぶ必要もなく、1回目または2回連続で失敗した後、バーの高さを上げることも可能です。高さが同じで順位が並んだ場合は、その高さでの試技の回数が少ない方が順位が上となります。試技の回数も同じ場合は失敗した試技が少ない方が順位が上となります。
東京2025世界陸上「この選手に注目!~男子走高跳~」
【外国人選手】
◆ジャンマルコ・タンベリ(33、イタリア)2m39
2023年世界陸上/東京五輪 金
◆ムタ エッサ・バーシム(33、カタール)2m43
2017、2019、2022 世界陸上 金/東京五輪 金
◆H.カー(28、ニュージーランド)2m36
パリ五輪 金
◆ウ・サンヒョク(28、韓国)2m36
2022年世界陸上 銀
【日本人選手】
◆赤松諒一(29、SEIBU PRINCE)2m31
パリ五輪、2022世界陸上、2023世界陸上代表
◆真野友博(28、九電工)2m31
パリ五輪、2022世界陸上、2023世界陸上代表
※前回優勝のタンベリ以外、東京2025世界陸上への出場は未確定
※名前の後ろは自己ベスト