"予想超える"乱気流でヘリ搭乗の7人重軽傷

「一応全員(外に)出てますけど先生1人重傷かな・・・」

2020年2月、移植用の心臓を運んでいた福島県警のヘリコプターが郡山市の田んぼに墜落し、乗っていた医師や警察官ら7人が重軽傷を負いました。国の運輸安全委員会は、ヘリコプターが飛行中に強い下降気流に遭遇し、操縦が困難になったとみられるという調査結果を2024年1月に公表しました。

東北大学 伊藤純至 准教授:
「我々の予想の範ちゅうを超えるような、ものすごく強い鉛直流=上昇流・下降流が吹いていて、それが事故の原因の一つになったということが分かりました」

伊藤准教授はこの調査に協力し、当時の状況をシミュレーションしたところ、山岳波に伴う予想以上に強い上下方向の気流=いわゆる乱気流が再現されたのです。

東北大学 伊藤純至 准教授:
「秒速10メートルという非常に強い鉛直流(上下方向の気流)になります。こんなに強い鉛直流は、普通は積乱雲の真ん中にしかないようなものなんですけど、晴れている日に、こんなことが起こっているというのは、あまり知られていないと思います」

このため、伊藤准教授は、山岳波の詳しい実態を明らかにしようと、2024年から蔵王の東側の3か所で観測を始めました。山岳波が生じると、地上では気圧が急に変化します。

東北大学 伊藤純至 准教授:
「(気圧変化が)1分間で1ヘクトパスカルという、普通はこういう変動は起こらないんですけど、遠刈田中学校に置いた気圧計ではそういうのが見えている」