"シミュレーション×観測"で予測精度上げたい
伊藤准教授によると、山岳波による乱気流は雲がない所でも起こることがあり、レーダーに映らないことが多いといいます。一方でシミュレーションでは、上空の高い所に風が弱いエリアがあるとその下側で乱気流が発達しやすいという結果が出ています。

東北大学 伊藤純至 准教授:
「山岳波がこの層で吸収されるんですね。そうするとどんどんエネルギーがたまっていってそのエネルギーが乱気流になる」
伊藤准教授はこうしたシミュレーションと観測結果の蓄積により、将来的には航空事業者に、より精度の高い乱気流の予測を提供したいと考えています。

東北大学 伊藤純至 准教授:
「シミュレーションでは見えているんですけど、実在を示す、どういう状況になっているかを理解するのが大きな目的です。将来的には予測までつなげていきたいと考えています」
目に見えない自然現象の姿を明らかにし空の安全の確保を目指す。気象学者の地道な挑戦が始まっています。
こうした伊藤准教授の研究について、元全日空の気象担当総括の吉野勝美さんは、「山岳波に伴う乱気流の正確な予測がフライトの前に入手できれば、安全を確保する上でとても重要な情報になる」と期待を寄せています。