2025年2月末に建て替えのため一時休館となる『帝国劇場』(以下、『帝劇』)。
今回、TBS芸能情報ステーションは、『帝劇』にゆかりのある俳優、宮野真守さんと三浦宏規さんの二人に独占インタビュー。『帝劇』の舞台に立つことへの憧れや、初舞台の時のこと、そして、ある大物俳優との想い出などを語っていただきました。

日本演劇界の殿堂『帝劇』。1911年に日本初の西洋式劇場として誕生し、1966年・2代目の帝劇となる「現・帝国劇場」の開場以来、演劇やミュージカルなど350を超える演目を上演し「日本ミュージカルの殿堂」として名を馳せました。
今回『帝劇』への想いを語ってくれるのは、”帝劇新世代俳優”の宮野真守さんと三浦宏規さん。

この日、初対面となった二人にお互いの印象を聞いてみると
◆宮野◆「(三浦さんは)次代を担う新世代というか、ニューウェーブ感みたいな。『帝劇』もそうだけど、数々場数を踏まれてるから、僕なんかより舞台経験豊富。まさに次代を担うスターなんだなという印象でございます。」

一方、三浦さんは宮野さんについて
▲三浦▲「太陽かなと思いました。なんと明るい。場がポッと明るくなるような。今日、初対面なのでびっくりして、近くにいて浄化されます。」とお互いをベタ褒め。

7歳から芸能活動を始めた宮野さん。
33歳の時にミュージカル『王家の紋章』で『帝劇』デビューを果たしました。
初めて『帝劇』の舞台に上がった時のことについて、宮野さんは
◆宮野◆「舞台の方では、最初上手くいかなかった。でも、いろいろ自分の活動で一生懸命頑張った先に(『帝劇』の)お話をいただくことになりました。当時は『帝劇』に立つ自分になれているんだなっていう自身への賛辞もあったし、チャレンジャーとしての気概も強くなりました。そして、そんな気負うこともなく『帝劇』のステージには立てたかなって思っていたんですけど、終わった瞬間に泣いちゃったの。千秋楽の時に。やっぱり『帝劇』のプレッシャーとか『帝劇』への憧れとかがあったんだなって思います。」

また、三浦さんも、帝国劇場までの道のりは険しいものがあったといいます。
▲三浦▲「クラシックバレエを昔からやっていたので、ケガで断念してミュージカルを始めた時に、母親から”やるんだったやるんだったら帝劇に立ちなさい”って言われたことがありました。」と当時を回顧。
母からの言葉で『帝劇』を意識するようになった三浦さんは、18歳の時、初めて『帝劇』で作品を観て、その想いが強くなったと言います。
▲三浦▲「前回の『レ・ミゼラブル』(以下、『レミゼ』)を客席から見たのが初帝劇、初観劇。そこで”俺、この舞台に立ちたい!”って思って、次の『レミゼ』のオーディションを受けて、奇跡に奇跡が重なって、受かって・・・。2019年にマリウスとしてデビューして、僕の場合は、本当にプレッシャーしかなくて、周りの方々も何回もやられてきた大先輩が沢山いる中だったので”俺なんかが”って思いながら、最後まで納得出来ないまま初舞台の時は過ごしました。」と、悔しさをにじませながら語ってくれました。

そして、二人には、帝国劇場にまつわる「共通の想い出」がありました。
それは、ある大物ミュージカル俳優からの言葉だったと言います。
▲三浦▲「最初の『レミゼ』に出演した時に、僕は『レミゼ』のマリウスで、エレベーターに乗って楽屋から劇場舞台上に向かう時に山口祐一郎さん、祐様がエレベーターに乗ってらして。もちろん面識のない時。でも格好で(僕が)マリウスだとはわかるじゃないですか?そうしたら祐様がエレベーターの奥から『頑張って~』って言ってくれたんです。それにすごいパワーをもらって」と、舞台俳優の大先輩である山口祐一郎さんとのエピソードを披露。
▲三浦▲「19年の最初の『レミゼ』の時って自信がなくて打ちのめされながらやってるところに、祐様の『頑張って~』の一言にどれだけ救われたか・・・その後、何度かご一緒させていただいて『キングダム』という作品で、あの言葉があったから頑張れたんですっていう。なんか祐様の『頑張って~』を経て『キングダム』をやってきたんだなと思うと、すごい感慨深いものがありました。」

◆宮野◆「『王家の紋章』の時に終演するじゃない?カーテンコールを待っている袖で祐様が、毎回 『またミュージカルやってね』って言ってくれるの。この世界にこう迎え入れてもらえたんだなっていう。祐様がそうやって言ってくださることがもう本当に嬉しくて、『また一緒にやろうね』って、毎回言ってくれて毎公演、毎袖、すごい嬉しくて。と同時に、”やんなきゃ!”と思った。なんかもう1回、自分が立てるような、やっぱ役者にならなきゃって思わせてもらって、頑張ろうって思うんだよな」と、宮野さんも山口祐一郎さんからの激励の言葉に助けられた過去を語りました。

『帝劇』では、近年、漫画やアニメを原作としたオリジナル作品を多数上演。
しかし、伝統ある『帝劇』で、新しいものを作るのには、大きなプレッシャーがかかると二人は言います。
◆宮野◆「直近の『ジョジョの奇妙な冒険』は、みんなで試行錯誤しながらだったので。『帝劇』の大きさをまた感じて、”ここの劇場に見合う演目をしっかり作っていかなきゃな”っていうプレッシャーとかは非常にありました。」
▲三浦▲「リスペクトは持ちつつも、(原作がある作品を)なぜ舞台で表現するのかで、僕がやることに、どれぐらい意味があるのか、その”せめぎ合い”とか”バランス”っていうのは、常にこう考えながら、2.5次元作品と言われるものは、そういうところを意識しながら作ったりします。」

◆宮野◆「日本のエンタメ業界にしか出来ないことを我々は今、出来ているのかもしれない・・・それは明らかに日本オリジナルのエンターテインメント。これは面白いと思いますね。」
▲三浦▲「(原作がある作品のキャラクターを演じる場合)一歩間違える怖さみたいなのないですか?お客さんのイメージに全くないことになったとするじゃないですか。作っていく段階で”良し”と出ない時もあるのかななんて。その怖さは常にもってしまう。原作にすごくお客様が熱狂してるっていう場合。そういう時って宮野さんってどういう風に考えますか?」
◆宮野◆「今回の『ジョジョ』がそうだったんだけど,、”とことん”までに『ディオ』(宮野さんが演じた役)と向き合って、『ディオ』がどういう風に生きてきて、どういう風な感情を誰に持っていてっていうことを”とことん”向き合ったんだよね。原作とは解釈がもしかして『違う』とか言われたとしても、こういう『解釈があってもいいよね』みたいに言ってもらったりとか。自分の解釈とか自分の想いとかを”とことん”まで(キャラクターに)人生付き添うみたいな。なんかそうすると、怖いけど迷いはなくなるかも知れない・・・」

最後にお二人にとっての『帝国劇場』とは…?
▲三浦▲「いつまでも夢を見ている感じです。夢見た劇場だし、立ってても夢みたいだと思うし、客席に観にきたら夢の世界に来たなって思うし。今の『帝劇』に加われた期間ってすごく短いから、束の間の夢だったのかな、どの劇場でも埋められないだろうなこの『帝劇』がなくなる寂しさは・・・」

一方、宮野さんは帝国劇場を擬人化して、寂しさを表現
◆宮野◆「この人(『帝劇』)にちょっと付いて行きたいかも知れないって思っていた先輩が、急に出張でいなくなっちゃう感じ。もう会えないのか、もっと教えてもらいたかったのになって感じ。すっごい悔しい。新しくなった『帝劇』に自分も立ちたいから恥ずかしくない自分で”再会”したいなって先輩に。自分が見合う人間でありたいなって。やっぱり常に憧れ続けるんですよ『帝劇』に…」

そんな二人は、間もなく一時休館となる『帝劇』で、今月14日から開催されるコンサート『THE BEST New HISTORY COMING』にも出演します。
【担当:芸能情報ステーション】