ウクライナ軍の反転攻勢が勢いを増す一方で、ロシア軍はなぜこんなにも弱いのか。大和大学の佐々木正明教授は、ロシア軍司令部の失策や兵士の士気の低下を指摘。傍受されたやりとりで兵士が上官をののしる音声が公開されるなど、軍規の乱れがあからさまになっているということです。また親ロ派のチェチェンン共和国・カディロフ首長が低出力の核兵器の使用に言及している点について「ロシアの保守派は格下のウクライナに核を使うのか」という否定的な声もあり、今はまだ核は抑止にすぎないと話します。

相次ぐ司令官への兵士らの“ぼやき”『あいつら酒に酔っ払っているだけだ!』


ーーロシアのプーチン大統領がウクライナ東部と南部の4州の併合に関する法案などの文書に署名したことが、5日明らかになりました。今回の署名により、4州併合に関するロシア国内の法的手続きはすべて完了しました。ロシア国内では新しい領土を獲得したということでロシア国内では政権支持率アップとも報じられています。どのようにご覧になっていますか?
「9月30日にプーチン大統領は演説で『4州の住民は永久にロシア国民だ』と言いましたが、もうそれは崩れていますね。ウクライナ軍が進行しておりますので、押し込まれている可能性もあります。ザポリージャ州は州都がウクライナ軍の侵攻下にある中で併合していますので、少し危ういですね。ヘルソン州も州都がウクライナ軍が奪還するかもしれないと言われていますので、併合手続きというのは無理強いして焦ってやったような印象を受けます。今、ロシア国民の表情を私も毎日、いろんなチャンネルを通して知っているんですが、やはり予備役招集で侵攻が私事になってきてるんですよ。やはりそのプーチン大統領の言ってることはまやかしだとかそのような雰囲気が広がってきていると思います」

ーーゼレンスキー大統領は、ドネツク州の要衝リマンの奪還を発表しました。こうしたことからロシア軍の苦戦が続いています。この理由についてはどのように思われますか?
「これはロシア軍司令部の失策、そしてロシア軍の士気が元々低いということです。現地メディアによりますとあるロシア兵士が、『ちゃんとした司令官がいない、あいつらは酒に酔っ払っているだけだ』という声も聞こえているということです。最近は司令官がうまくやってないとか、司令部から物資が来ていない、補給がうまくいってないというような現状だと思います。そこで、ウクライナ軍の情報機関が前線にいるとみられる兵士の『ぼやきみたいなもの』傍受しておりまして、汚い言葉で、罵っているんですね司令官を『スターリン時代と一緒だ!』『あいつら酒に酔っ払っているだけだ!』『僕らは寒いのに防寒着もないけど無理強いしてきて、1mmでも下がるな!もし下がったら刑務所に行くことを言わされている』と。冬将軍と言ってロシアに有利になるかもしれないと言いましたが、足場を崩して一気に引かれているような状況で、ロシア軍立て直しは相当に厳しいなという感じもします」