大谷翔平選手に対する銀行詐欺などの罪に問われ、禁錮4年9か月が言い渡された水原一平被告。

法廷では、大谷選手が被告と妻のファーストクラスの飛行機代も払っていたことなど、新しい事実が明らかにされました。

最長で禁錮33年の罪が4年9か月に…検察側と弁護人が“握った”か

日比麻音子キャスター:
今回、水原被告は▼大谷選手の口座から約26億円を不正送金した「銀行詐欺罪」、そして▼約6億円の所得を2022年度に申告しなかった「納税申告虚偽記載罪」となりました。

アメリカ連邦地裁の判決では▼禁錮4年9か月、そして▼大谷選手への約26億円の賠償が命じられました。

そもそも、銀行詐欺罪は30年以下の禁錮、納税申告虚偽記載罪は3年以下の禁錮となるものでした。単純に足して最長33年という禁錮もありうる罪だったなか、連邦検察が水原被告に求刑していたのは▼禁錮4年9か月、▼保護観察3年、▼賠償金の支払いです。

一方、水原被告の弁護人は「禁錮1年6か月が妥当」と情状酌量を求めていましたが、なぜ今回は禁錮4年9か月という判決になったのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
水原被告は2つの罪を認めているわけですが、仮に陪審裁判に行った場合には、最大の33年とはいわなくても、20年程度の評決、判決になったと思います。

ただ今回、水原被告氏は弁護人を通して直ちに司法取引を始めました。検察に協力したり、裁判所や検察の力をまったく使わなかったり、カードを返還したりもしています。

私は禁錮8~12年程度が相場だと思っていましたが、そういった水原被告の最大限の協力により、連邦警察は最低の最低で4年9か月を求刑してきたという流れになっています。

日比キャスター:
求刑の時点で、検察側と弁護人はすでに“握る”というか、相談をしていたのですね。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
おっしゃるとおりです。もともと罪だけ見ると8~12年の禁錮ですが、水原被告はこれだけ協力しましたし、今までに罪や犯罪歴もなく、誰にも迷惑をかけていないということを強調したのだと思います。それで、日比さんがおっしゃったように“握る”という形にしたのでしょう。

日比キャスター:
“握る”というのは、アメリカにおいてはよくあることなのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
私も自分で事件を担当していますが、たとえば罪が10個あるときに、1個だけ認めるから他の9個についての分は考えないでくれというようなこともあります。

今回のように異なった2つの罪が問われている場合にも、できるだけ初期段階から協力するような形で減刑を求めるのは多々あることです。