静岡県島田市の日翔工業が2014年に始めたブランド「PROGRESS」。オーロラのような輝きを放つジュエリーグラスを製造・販売しています。

美しい色の正体はー?

<PROGRESS 小長井克久さん>
「チタンの分子を積層しています。青とか紫に見えると思いますが、青と紫のところでチタンの厚みが25万分の1ミリ。その厚みをコントロールすることによって、このグラデーションが実現できています」

鮮やかな色の正体は金属のチタン。コーティングの厚みに25万分の1ミリの差を出すことで、光の屈折の度合いが変わり、独特な美しい色合いになります。

さらに、最も純度が高いプレミアムチタンを使うことで、3つの特徴が生まれます。

<PROGRESS 小長井さん>
「汚れや臭いがつきにくい。メンテナンス性が良く、衛生的に使っていただける。菌を分解してくれる。それによって味を良くしてくれる。他の金属のグラスと違い、唯一金属イオンが溶け込まない金属。味をダイレクトにピュアに感じてもらえる」

25万分の1ミリの薄さで、プレミアムチタンをコーティングすることで、使い勝手がよくなるだけでなく飲み物をよりおいしく味わえるといいます。

この高度な技術を実現する秘密は工場にあります。

<PROGRESS 小長井さん>
「こちらの機械でチタンをコーティングしています。世界に1つしかない機械、技術によって人工衛星を守るようなコーティングをしていました」

日翔工業は以前、人工衛星の部品をコーティングしていました。その技術を応用してジュエリーグラスを作っています。

<日翔工業代表取締役 小長井博夫さん>
「水たまりに石を投げると、水しぶきが飛ぶ。その石の代わりが機械の中ではガス。それを利用してグラスにチタンをコーティングしている」

機械の中ではガスの勢いによってチタンが飛び散っている状態です。そのチタンがグラスの表面に付着し、コーティングされます。

人工衛星に使っていた技術で、なぜグラス作りを始めたのでしょうか。

<PROGRESS 小長井さん>
「テクノロジーをアートに変換できないかなというところから、おいしいものをよりおいしくすることができたらと思い、グラスにコーティングをしました」

こうして誕生したジュエリーグラス。伝統工芸「結霜」と融合させた作品や、静岡のガラス工芸作家とコラボレーションした作品など、さまざまな種類があります。

プレゼントとして人気を集め、今では地元の島田市のふるさと納税返礼品になっています。2020年には飲み比べをしながら購入できる直売店を静岡市葵区にオープンしました。

<PROGRESS 小長井さん>
「飲み心地、口当たりを体験してからグラスを購入していただける。心が落ち着く時間を創出できるグラスにしたい。静岡から世界へという形で発信して皆さんの心が癒やされればと思います」

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
人工衛星の技術が詰まっていると思うとロマンを感じます。

<LIVEしずおか 井手春希キャスター>
私の父も晩酌で愛用していまして、口当たりがまろやかに感じると気に入って使っています。小長井さんは今後も伝統工芸と現代の技術を掛け合わせて未来に残していきたいと話しています。