これまでも注目されている、松山市が設置した「緊急車両用道路」の設計や施工が妥当だったのかという点。これについて愛媛県は去年12月、道路の管理者である松山市に対して、設計や施工の妥当性を検証するよう求めています。しかし、松山市の担当者は30日時点で検証するかどうかは決まっていないとしています。その理由については、専門家に意見を聞いてから判断すると述べました。

松山市開発建築部 鷲谷浩三部長
―緊急車両用道路の設計・施工を検証するかどうか今は決めていないのか
「専門家にそれについても意見を伺って…」
―今、現時点では検証するとは言えないのか
「そうですね」

松山市の担当者
―道路自体を管理するのは松山市。松山市の判断で調査をすることはすぐにできると思うが、専門家に確認する理由は
「(技術検討委員会で)基本となる考え方がきょう示された形になっているので、これを土台にして、どういうものを果たして検証するかというのはこれでようやく考えることができると思いますので、専門家にどういうことが必要なのかを聞きたいということで、きょうはお答えできないということでご認識いただけたかと思います」

一方、県の担当者は…。

県土木部 吉良美知宏部長
「少なくとも今回の委員会で(斜面変形の)素因として示されたので、そこはしっかりと管理者(松山市)が判断、検証していくべきものと考えています」

30日の会合では、住民から松山市の責任を問う声もあがる中、委員を務める松山市の課長からこんな質問も。

渡辺裕二委員(松山市市街地整備課長)
「今回のこの事象というのは“自然災害”という認識でよろしいのかということをちょっと確認させていただきたい」
事務局
「自然なものであったというのは一つの原因であったと考えられますけど、それだけとは考えられないと思います」

技術検討委員会の委員長を務めた愛媛大学工学部の森脇亮教授は、緊急車両用道路と災害との関係について次のように説明しました。

森脇委員長
「長期的な斜面変形に関しては道路の影響、可能性は否定できないという結論になっています」

一方「自然災害」かどうか確認しようとした理由について、記者から問われた市の担当者は…。

渡辺裕二 松山市市街地整備課長
「降雨が大きな誘因ということなので、僕的には委員の先生方にどういう考え、認識なのか聞いてみたかったということで」

30日の報告内容について、緑町の住民は-。

緑町の住民
「期待した通りの答えは返ってきていません。道路さえできなければ崩れていなかったと思います」
「車両用道路が原因が全くないということではなかったということは、ある意味少しは影響があったということなので、それは少しは松山市に責任的なものはあるんじゃないかと思う」

一方、松山市の野志克仁市長は「委員会の結果が出たので市として準備が整い次第、私も出席して住民説明会を開催したい。緊急車両用道路についてもその中で説明したい」というコメントを発表しました。

災害のメカニズムが明らかとなり、今後、議論のテーマは緊急車両用道路の妥当性や責任の所在はどこなのかなどに移ります。被災した住民に寄り添った結果となるのか、引き続き注目されます。