いとおしい“歩く白鳥”
澤江さんは、これまでも翼を傷めて飛べなくなった白鳥を何度も見てきましたが、何百メートルも散歩するかのように歩いて移動する白鳥を見たのは初めてだといいます。

澤江弘一さん:「助けてあげたいなと思う対象がまた現れたっていう感じです。飛べないからといって、“歩く白鳥”は初めて見ました」
この“歩く白鳥”を見守る上で、困ったことがありました。それは、ケガの具合が分かりづらく、多くの群れの中に混ざると、識別するのが難しいのです。くちばしの黒色の部分で個体識別できる澤江さんでも、一筋縄ではいきません。


澤江弘一さん:「意味わからん。痛めた左の羽根の先がパサパサになっているんですが、羽をたたんでいる状態だと見つけるのは難しいです」

数時間後、田んぼで餌を食べて満足したようで、寝床にしている山田川の方に向かって歩き出しました。驚くべきことに、今度はつがいで2羽いっしょに田んぼわきの農道を歩いているのです。しばらく歩くとつがいの片方は、飛んで山田川に飛んで移動しました。

一方、飛べない“歩く白鳥”はというと、堤防につながる坂道を登り、山田川にテクテク歩いて戻っていきました。

