◆懲戒解雇された元営業部門トップ
そもそも、厳格な審査が行われるはずの銀行で、ずさんな見積もりや預金通帳の改ざんなどが、なぜ起きたのでしょうか。「スルガ銀行」の元執行役員専務で営業部門のトップだった麻生治雄さんです。

麻生さんは4年前、審査部門に圧力を加え融資を無理やり承認させたとする身に覚えのない理由で、スルガ銀行を懲戒解雇されました。

解雇された麻生治雄さん「呆然としていました。怒りとか悲しみとか越えていましたね」
◆「審査部門が見抜けたはずだ」と指摘
麻生さんは、不正が疑われる報告を受けたことがないと言います。融資の際、営業担当者と所属長による通帳原本のダブルチェックなどを徹底させていたためです。その上で、仮に報告がない形で不正な融資の手続きが行われていたとしても、審査部門が見抜けたはずだと指摘します。

解雇された麻生治雄さん「自己資金をこういう風に確認して原本を見ようと、もし問題点があったら、その時に部下と意見を交わせていた。それにも出てこなかった。審査の方は(不正融資を)はじくことができたんですから。審査に私たち(営業部門)が口を出せないところなんですよ」
◆判決“元営業部門トップの訴えをほぼ全面的に認める”
麻生さんは、スルガ銀行に「解雇の無効」や「給与の支払い」などを求め提訴。東京地裁は今年6月、麻生さんの訴えをほぼ全面的に認める判決を言い渡しました。

東京地裁は「解雇理由になった行為の証拠はなく解雇は無効」とした上で「審査の担当者には、適正に融資審査をすべき職責があり、職責を放棄していたと言わざるを得ない」と指摘しています。