大分県別府市在住の自閉症の男性が描いた作品が建設会社の若手社員の目に留まり、工事現場に温もりを与えています。作品の魅力に迫りました。
大分県別府市に住む姫野暁さん31歳。自閉症の姫野さんは母親の勧めで13歳の頃から市内の絵画教室に通っています。割箸を削ったペンと漫画用インクで下書きせず一気に描いていきます。

(姫野暁さん)「楽しい。動物が好き」
(たなか絵画教室・田中巌久さん)「アンバランスの面白さですね。さとちゃんのはね、すべて。鼻が大きくなったり足が大きくなったりアンバランスなんですよすべて私が想像する以外のものが出てくるからそこが面白い」

別府市にある障害者の就労支援事業所。姫野さんは商品の梱包作業をしています。「姫ちゃん」の愛称で親しまれ、頼られる存在の姫野さん。休憩中はいつも持ち歩いているスケッチブックにクレヨンで絵を描いています。
(姫野暁さん)「絵を描くのが好き」
事業所の職員も姫野さんの絵を気に入っていて施設の至る所に飾っています。
(ブロスガーデン・石井芳史さん)「姫野君のギャラリーも作っていく計画もありますのでいろんな人に素晴らしい絵を見てもらいたいと思いまして施設側としてはどんどん姫野さんをバックアップしていこうと思っています」
姫野さんの作品は大分銀行がすすめる「障がい者アートの商業化」事業の一環で個展が開催され、多くの人に注目されるようになりました。そして作品は工事現場に設置された高さ5メートルの壁面にも飾られています。大分市にある三浦国土建設では大分銀行の取組に賛同し工事現場に姫野さんの絵画を設置しています。若手社員が中心となってプロジェクトを手掛けました。

(三浦国土建設・城土遥華さん)「姫野さんを作品を見た時に今にも飛び出してきそうな迫力があったので、工事現場はかっこいいというイメージに合わせて力強い絵を選びました」
躍動感あふれる動物の姿に毎日壁の前を通る中学生は「こんな絵が描けるなんてすごいなと思います」「いつも殺風景なんですけど工事現場は楽しい気持ちになれるしいいと思いました」「姫野暁さん聞いたことなかったんですけど改めて知りたいなと思いました」
(城土さん)「いい反応をいただいてやってよかったと思っています。今後の工事でも取り入れるところには取り入れてつながていけたらなと思っています」
姫野さんは独創的な作品を通して活躍の場を広げています。
(姫野暁さん)「楽しい。うれしい」
自由な感性で図鑑の中の動物に息を吹き込む姫野さん。作品に向き合う姿は真剣でそのまなざしは輝いています。