「鉄は国家なり」という言葉がありますが、鉄道や兵器に欠かせない「鉄」は近代国家の力の源だとされています。
かつて世界一・USスチールを日本が救う?

アメリカにおいて歴史的な役割を果たしてきたのが、1901年にペンシルベニア州ピッツバーグで創業した「USスチール」です。
第二次世界大戦のノルマンディ上陸作戦に使われた揚陸艦、マンハッタンのエンパイアステートビルなどに、USスチールの鉄鋼が使われ、当時世界一の生産量を誇るアメリカを代表する企業でした。

しかし、近年は中国製の“安い”鉄鋼が世界を席巻し、最新の世界ランキング・トップ10のうち、6社は中国企業です。経営不振に陥ったUSスチールは24位に低迷し、このままでは工場の閉鎖も懸念されていました。
※世界鉄鋼協会まとめ

そんなUSスチールの買収に、世界ランク4位の日本製鉄が乗り出しました。USスチールの時価総額より4割高い、約2兆円(141億ドル)での買収を提示したのです。
さらに、10年間は生産能力を維持することを約束するなど、雇用や年金も守られると強調しています。USスチール側にとってもメリットが大きい買収話でした。