今年注目を集める人に話を聞く新春インタビュー。今回は今年4月に琉球大学初の女性学長に就任する喜納育江さんです。これまで女性の教員や研究者が少ない大学内で、性別に関係なく活躍できる場を作ろうと挑戦を続け道を切り開いてきました。「景色を変えたい」と話す喜納さんに新学長への意気込みを聞きました。

▼琉球大学 喜納育江教授「文化を理解することも大事なんだけど、文化は隣にいるあなたの全て」

学生たちに優しく、力強い言葉で語り掛ける喜納育江教授。今年4月、琉球大学の新たな学長に就任します。

「人は自分と自分でない者、他者との関わりで生きていきますよね。その中でどうしても摩擦や理解がないために争いが起こってします。戦争はその最たるもの。それをどうやって人間は克服するか」

英米文学を専門に、ジェンダー問題や異文化理解に関しても研究に力を入れてきました。


▼学生「喜納先生は私の個人的な悩みとか相談とかも聞いてくれて学生と距離が近い“お母さん”みたいな先生」
▼琉球大学 喜納育江教授「お母さんって言われちゃった…(笑)」

喜納育江さんは、那覇市首里出身で1990年に琉球大学を卒業しました。1996年からは母校の講師に着任し、現在は国際地域創造学部の教授を務めています。とにかく学ぶことが好きだと話す喜納さん、その背景には母と祖母の存在がありました。

▼琉球大学 喜納育江教授「祖母がずっと勉強したい人で、時代と自分の境遇で全く教育が受けられなかった。小学校までしか出られなかったという思いをひしひしと感じて育ってきた。母は疎開児童として疎開したので戦争がなければもっと学べたんじゃないかと。学べなかった女性たちをずっと側で見て生きてきた。母も祖母も自分が学べなかったから教育だけはこの人にはあげようという感じで」

学びたくても学ぶことができなかった女性たちを身近で見てきたことで、教育への探求心がより強くなったといいます。その学びへ思いは教壇に立つ今も常に持ち続けています。

「これまで何十年と自分が考えてきたこと、例えば何故人は人を差別するのか、何故性差別や人種差別が起こるのかというずっと疑問としてもっていることをクラスの学生の色んな意見から今時の人はこんな風に考えるんだとそこから学んでいる。本気で学んでいます私も」

この春には教壇を離れる喜納先生へ、学生からこんなエールも。

▼学生「喜納先生は女性だから注目されるわけではなく、本当に素敵な人。これからも女性学長というタイトルだけでなく琉大のすごい学長として皆に覚えられてほしい」
▼琉球大学 喜納育江教授「頑張ります」