人の気持ちが沁みるようになった
イチロー:なんか人の思いとか気持ちっていうのは、すごく沁みるようになったよね。
松井:そうなんですよ。
イチロー:年齢を重ねるとね。
松井:ちょっとしたファンの反応とかね。近くにいる人の反応を見て、「あ、こんなに喜んでくれるんだ」って。

イチロー:人が喜んでくれるって嬉しいよね。
松井:そうなんですよ、そうなんですよね。
イチロー:昔は何か自分がもうプレーして、結果を残すことで必死で。(人が)喜んでくれてる瞬間も味わってるんだけど、次から次にやってくるからね。そんなことに浸ってられないし、だけどなんか今は、すごいその人の気持ちが刺さるよね。
松井:本当にそう思います。それこそ中学時代からね。何か触れたり、すれ違ったりみたいなのを繰り返して。今回、なんていうのかな、すごい、その人間的に心地いいな、イチローさんと一緒にいて心地いいなっていうのを初めて気づいた、自分自身がね。
イチロー:はあー、へぇー(笑顔)
松井:それも今まで感じなかった部分かなっていう。わからなかった部分。
イチロー:わからなかった、お互いにね。
松井:だから、それを外してくれたのはやっぱ、イチローさん。
スタッフ:この感じをいかして10年やりましょうよ、野球のためにね、日本の。せっかく、こう不思議な距離が・・・。
イチロー:えっ!何言ってんの。
松井:フフフフフフ(爆笑)
イチロー:何そこでうまいことまとめようとしてるの?
イチロー&松井:(笑)
イチロー:いや本当、ね、楽しかったし。
松井:楽しかった。
イチロー:いい時間でした。ありがとうございました。
松井:とんでもないです。ありがとうございました。
【対談を終えて】
松井:一応、50歳の男は普通は「私」ですよね(笑)。その辺に関しては、ちょっと主張させてもらおうかなと。カメラが回ってることをね、忘れさせてくれるぐらい話し込んでしまいました。でもいい時間でした。ええ。また何かね、お互い良い形で再会できたら嬉しく思います。
イチロー:やっぱ何もかも似てる選手が並んでも面白くないんで、コントラストが効いてる方がおもしろいのはおもしろい。だけどこうやってね、久しぶりに会って話をすると、結構考えてることとか価値観というのは、似てるんだなっていうのが感じられてすごく嬉しかったです。