ドイツで行われているキリンチャレンジカップ2022のアメリカ戦(23日)に、日本は2-0で勝利した。試合は前半25分に鎌田大地(26)のゴールで先制すると、後半途中からピッチに入った三笘薫(25、ブライトン/イングランド)が自らのドリブルで仕掛け、後半43分に追加点。日本の完勝といった内容だった。

三笘はこれで代表8試合目にして5ゴールと、脅威的なペースで得点を重ねている。持ち味はドリブル。この日も左サイドからドリブルでアメリカ守備陣を翻弄し続けた。

Jリーグ時代から現在に至るまで多くのサッカーファンを惹きつける三笘のドリブルは、なぜ止められないのか?サッカーファンは彼が「無双」する姿を見て、一度はそう思ったことがあるのではないか。そこで今回は、三笘が川崎フロンターレに所属していた2021年に、複数の証言を交え本人に直撃したインタビューを、ご紹介したい。

森保監督、田中碧、元チームメイト・TBSアナウンサーの証言

「ボールを持たせると脅威的な存在になり、もっていなくてもいるだけで存在感のある選手になりたい」と話す三笘に、証言者のインタビュー映像を見てもらった。

まずは川崎時代や日本代表でチームメイトの田中碧(24、デュッセルドルフ/ドイツ)。「僕は止められるのでわからないですけど」と前置きしながらも「まず一つ目に速い。シンプルに速い。それは見た目以上で、ボールを持った時のスピードに関してはJリーグで1番速い」とその速さを称賛。加えて「ドリブル時の前傾姿勢が深い。ドリブル姿勢が斜めなので、頭の真下にボールがない。遠い位置に、足元にボールがあるので相手は届かない。それでなおかつ速いので、取りにいったら抜かれている」と証言した。

三笘は「僕よりも僕のことを知っている。凄い。前傾姿勢というのはあまり言われなかったが、確かにそうかもしれない。ボールが遠くなる理論も今の証言で分かった」とすぐそばで見続けてきたチームメイトの分析に、納得の表情だった。

続いてはTBSアナウンサーの齋藤慎太郎(25)。誰?と思う方もいるかもしれないが、齋藤は高校時代に横浜F・マリノスユースでCBとしてプレーしていた経歴の持ち主。さらに高校1年生の時には国体の神奈川県選抜で三笘とチームメイトにもなっている。

「まずディフェンスが主導権を持って守るのが難しい。相手のタイミングを見てドリブルをする選手」と三笘の印象について話した齋藤。取れそうで取れない位置にボールを止める三笘に、我慢できなくなった齋藤突っ込むしかなく、一発で交わされていたという。「いやらしいドリブルするなと。いやらしいという言葉が合うと思う」と話した。

齋藤との高校時代を覚えているという三笘は「相手が足を出してくるように狙っている。ボールが右足の前にあるというのは常に意識しているが、相手が取りに来るというよりは、自分が常にボールに触れる位置に置くことを考えている。常にボールを触って主導権を握っている状態がいい。アウトサイドのタッチを常に一定でいつでも方向転換できる位置に触りながらプレーするのは小さいころから変わらない」と応えている。


そして日本代表の指揮官、森保一監督(54)も三笘のドリブルを絶賛した。「まずドリブルのテクニックも相手との間合いを考えて、色んな仕掛け方ができるし、タッチの仕方も変えたりとアイデアがある。相手を見ながらプレーができる」と、先の2人と同様の分析に加え「ボールを持つとスピードが下がる選手はいるが、三笘の場合はボールを持ってスピードがあがる」と評価した。

三笘も「ボールを持って落ちてしまうスピードの差を少なくしようと思っていますし、シンプルに前方に広大なスペースがあってドリブルする場合は、ほとんど差はない」と語った。