総理大臣に就任してわずか2か月で踏み切った「決断」
(筆者 RSK山陽放送 小林章子)
「その微風和暖。田中角栄元総理の書です」

(小長啓一さん)
「田中さんはよくこの言葉を色紙に書きました。4文字だから量産できる」
(小林)
「力強い演説の印象とは少し違う、優しい文字ですね」
(小長さん)
「そうかもしれません。それは田中さんの人間力の広さ、深さによるものですね」
(小林)
「ところで、日中共同声明は、田中角栄氏が7月に総理大臣に就任してわずか2か月後のことでした。なぜ急いだのでしょうか」
(小長さん)
「当時、岡崎さんのような親中派がいる一方、台湾に中華民国があり蒋介石総統が健在であったことから『慎重になるべき』という意見もあった」
「第二次大戦後、中国大陸にいた兵士や在留邦人30数万人が中国にいたのを一人の死傷者もなく日本に送り届けてもらった、その時の中国の責任者が蒋介石総統であった。その恩義を忘れるべきではない。共産圏である中華人民共和国と手を結ぶのは人道に悖るんではないか。いずれは日中国交正常化をしなければいけないんだけど、台湾のことを考えるともう少し先でもよいのではないかという議論があった」