そして2016年、アメリカの現職大統領として初めてオバマ氏が広島を訪問した際には、当時の代表委員・坪井直さんが…

日本被団協 坪井直代表委員(当時)
「今後は未来志向で。あれがやったから、これがやったからと後ろを向いたらいかんよ」

オバマ氏と握手を交わし、「核なき世界を一緒に頑張りましょう」と声をかけたといいます。

そして今回の被団協のノーベル平和賞受賞。
しかし今、世界は「核なき世界」とは程遠い状況に向かいつつあります。

以前から核の脅威をちらつかせるロシアに対し、ウクライナのゼレンスキー大統領は、こんな発言を…

ウクライナ ゼレンスキー大統領(10月17日)
「ウクライナが核兵器を保有し、わが国を防衛するか、あるいは何らかの同盟に入る必要がある」

「自分たちに必要なのはNATOへの加盟であり、核を選ぶことはない」としたものの、防衛のための核保有に言及しました。

また2023年広島で開かれたG7サミットでも、広島ビジョンの中で、核兵器は「防衛目的のために役割を果たし侵略を抑止」などと核抑止の意義を強調。

さらに日本政府は、中国やロシアなどの動向をにらみ、アメリカとの核を含む抑止力の強化を確認しています。

こうした状況に…

田中熙巳 代表委員
「核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願いです」

一方で、核廃絶を訴えてきた被爆者も平均年齢はすでに85歳。
田中さんは次世代を生きる人たちに期待を寄せます。

田中熙巳 代表委員
「これからは私たちがやってきた運動を、次の世代のみなさんが工夫して築いていくことを期待しております」