松山城の城山で起きた土砂災害を受け、住民が松山市に再三、求めている説明会をめぐり、新たな動きです。愛媛県が13日に会見を開き、原因を究明する委員会の結論を待つことなく、住民に対し松山市が説明責任を果たすよう強く求めました。

愛媛県 吉良美知宏 土木部長
「技術検討委員会の結論を待つことなく、今後の対応については、地域の住民の方に丁寧に説明することを強く申し入れたところでございます」

今年7月、松山城の斜面が崩落した土砂災害では、ふもとの緑町に土砂が流れ込み、倒壊した家に住む3人が死亡しました。

県が設置した技術検討委員会で専門家による原因究明が進められる中、緑町の住民から城山を所有する松山市に対し、説明会の開催を求める声が再三、上がっていますが、市は応じていません。

緑町の住人(9月:住人による市への要望)
「2か月たってるんですよ。第一、きょう市長があいさつにも出てこんのはどういうことですか。それを説明して下さい。この問題に関して真剣に考えとるんか、あなたたちは」

こうした中、県が復旧工事の方針などを説明するため、12月10日に開いた住民説明会には、市の担当者も同席しましたが…。

緑町の住人
「(緊急車両用道路の)設計、施工管理というところが、果たして妥当だったのか。県に聞くと『それは市の管理なので市がやるべきと提案している』との回答。市に聞くと『県の技術検討委員会の中で進めていく』となっている」

こうした松山市の対応について、県の吉良美知宏土木部長が13日に会見し、次のように疑問を投げかけました。

愛媛県 吉良美知宏 土木部長
「よく技術検討委員会の結論を待つ、というお話が松山市のご担当者の方から発言ありますけれども、待たなくてもできることはたくさんありますので」

吉良土木部長は、松山市に対し、技術検討委員会の結論を待つことなく地域住民に丁寧に説明するよう強く求めたことを明らかにしました。

また、災害前から亀裂が確認されていた「緊急車両用道路」の設計や施工、管理の妥当性についても、市が検証するよう強く提案したということです。

愛媛県 吉良美知宏 土木部長
「あれだけのことが起きたわけですから、われわれであれば当然検証はすると思います。技術検討委員会で委員が言っていないので道路の検証をしないというのは、管理者としてどうかなと個人的に思います」

新たな動きを受け、緑町の住民は…。

緑町の住人
「誠意のある対応をして欲しい。3人が犠牲になっているのだから、もっと重く受け止めて、真摯な対応をして欲しい」
「松山市の対応はものすごくひどい。何と言ったらいいのか、人間的な対応でない」

一方、12月10日の住民説明会で質問に立った住人の本田雅紀さんは、住民に寄り添った対応に期待をにじませました。

緑町のマンション住人・本田雅紀さん
「のらりくらりの対応をしていたので、らちが明かないなと思っていたが、県がああいった形で言及してくれて、多少なりとも進む可能性があるのであれば、ありがたいなという感じはする。期待はしたいと思う」。(緊急車両用)道路の検証以外でも、住民の話を聞ける部分があるんじゃないかと」

これまで一貫して、検討委員会での検証が続いていることを理由に、住民説明会の開催を拒んできた松山市の野志克仁市長。

13日、城山で起きた土砂災害の復興支援で寄付を行った企業への感謝状の贈呈式に出席しました。

あいテレビでは、広報を通じ野志市長への取材を申し込みましたが「きょうは難しい」という回答でした。

一方、松山市市街地整備課の担当者は「検討委員会の結論がないと十分な説明や判断ができないと考えている。県と見解が違うところはあるが、対応を変えるつもりはない」と話しています。