ロス五輪に向け、徹底的に思考をチェンジ

パリ五輪から3か月半が経ち、次に向けて心に決めたことがある。

「この3年間、思っていた以上につらくて苦しかった感情に初めて気づいた。次の4年は楽しむと決めてロサンゼルスオリンピックに向けては(金メダル)宣言をしない」

体力と技量が備わっていても心が乱れては結果につながらない。敗戦の経験を糧に梶原は今、スポーツメンタルドクターの元を訪ね、心のトレーニングを始めている。

これまでメンタルのカウンセリングパートナーは母親の有里さんが担当したが、今では「自分たちが知らない領域に入っている」とプロに頼って勉強中。常にご機嫌でいられる方法など新たな心のスキルを学び「すごく楽しい」と話す。

自転車競技を始めて10年、2028年7月に行われるロサンゼルス五輪に向けた”4か条”を掲げた。
①一生懸命楽しみましょう
②自由になりましょう
③あるがままの自分に気がつきましょう
④風を感じましょう

自転車に乗る際には、これらを唱えてから乗るようにしているという。

「今までは自分の気持ちを無視して、感情に向き合わず無理やりポジティブな方向に変換してきた。これからは楽しいから乗っているという感覚、自由を感じているということを大切にして自転車を乗る」

思い描く理想は、羽がついて飛んでいくような感覚、遠心力を感じて走る感覚。様々な試練を乗り越え続ける梶原が4年後の大舞台に向け少しずつ前へ進み始めた。