1968年に発覚した食中毒「カネミ油症」をテーマにしたドキュメンタリー映画の上映が、29日から長崎市で行われています。

映画「母と子の絆 カネミ油症の真実」は、56年前に発覚したカネミ油症事件の次世代被害に焦点を当てたドキュメンタリー作品です。

カネミ油症とは?

カネミ油症は、1968年に市販のこめ油に化学物質PCBが混入したことによる食中毒です。西日本一帯で1万人を超える人々が、皮膚症状や脱毛、内臓疾患などのさまざまな健康被害を訴えました。届け出た人は、ごく一部だったと指摘する声もあり、被害の全容は分かっていません。

その後の研究で、PCBが熱で猛毒のダイオキシン類に変化していたこと、油に非常に溶けやすく体内に残存し続けることが分かりました。さらに、被害者から「黒い赤ちゃん」が生まれたことをきっかけに、へその緒や胎盤を通して次世代にも影響を及ぼすケースがあることも分かりました。結婚や就職での差別をおそれ、家族にさえも油症被害を隠している人も少なくありません。