大阪府内の商業地の上昇率1位は、北大阪急行の延伸を控える「箕面市船場東3丁目1番1」の7.3%アップでした。これは何となく想定内ですが、2位に大阪の弁天町の下町の地点「大阪市港区弁天4丁目12番27」が5.9%アップでランクインしたのです。弁天町がある大阪市港区全体では商業地が5.0%アップしていて、市区町村別で大阪府内トップ。かつて大阪市の負の遺産を抱える町というイメージもあった弁天町でいったい何が起きているのでしょうか。

 バブル期にはキタやミナミに次ぐ副都心にすることを目指して弁天町エリアの開発を模索していた大阪市は『公有地信託』という手法に目を付けます。自治体が所有している土地を金融機関に信託。その金融機関が開発・運用を行うことによって自治体は配当を受け取るという仕組みです。家族連れで楽しめる屋内プールができたほか、1993年には「ORC200(現:大阪ベイタワー)」という超高層複合ビルが誕生。大きな注目を集めましたが、マンションの分譲やオフィス入居は思うように進まず。赤字だけが膨れ上がった結果、金融機関と大阪市の法廷闘争になります。そして裁判に敗れた大阪市は結局300億円近くと見込まれていた配当は1円も受け取れず、637億円を逆に金融機関に支払うことになったのです。

 ややマイナスイメージが付いたように見えますが、現場を歩いてみると確かに新たなマンション建設などが進んでいます。専門家は次のように話します。

 (大和不動産鑑定 山内正己不動産鑑定士)
 「(魅力は)JR大阪環状線・大阪メトロ中央線が交差するようなところで都心部へも行ける。本町へも繋がる。そして夢洲まで繋がる」

 梅田や本町などへのアクセスの良さだけではなく、中央線が延伸することで3年後の万博会場でもある夢洲の玄関口となることが地価押し上げの一因のようです。 

 (大和不動産鑑定 山内正己不動産鑑定士)
 「用地にしてもかなり今は中心部からすると割安感がありますので、まだ伸びしろがあるかなと思います。ウォーターフロントへの入口みたいな拠点になりますので、今のところは弁天町がキーになるかなという感はありますね」