障害者やドラァグクイーンなどの”マイノリティ”たちの圧倒的なパフォーマンスが魅力の映画『まぜこぜ一座殺人事件』が劇場公開されている。一芸に秀でたプロたちの演技を楽しく見ているうちに、マイノリティの様々な本音の毒気が次第に現れる―――。10月29日のRKBラジオ『田畑竜介 GrooooowUp』で、コメンテーターの神戸金史・RKB解説委員長が、この映画を企画した俳優・東ちづるさんにねらいを聞いた。

俳優・東ちづるが企画した映画

2週連続で、『侍タイムスリッパー』『アディクトを待ちながら』とインディーズ映画の紹介が続きました。今週も「自分たちで作りたい!」と思って作り始め、上映先がどこかにないかと探していくという、自主映画『まぜこぜ一座殺人事件 まつりのあとのあとのまつり』について話します。企画・プロデュース・キャスティングをしたのは、俳優の東ちづるさんです。

常識に囚われた業界人たち=(C)2024一般社団法人Get in touch

〈東ちづる〉
1960年、広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。俳優・タレントとして、ドラマ、映画、情報番組の司会、コメンテーター、講演、出版など幅広く活躍。プライベートでは骨髄バンクやドイツ平和村、障害者アート等のボランティアを30年以上続けている。2012年、”まぜこぜの社会”をめざす、一般社団法人「Get in touch」を設立。代表として活動中。近著に、自ら描いた妖怪61体を社会風刺豊かに解説した「妖怪魔混(まぜまぜ)大百科」(ゴマブックス)などがある。映画制作は2017年『私はワタシ~over the rainbow~』につづき2作目。


私は東さんの活動に注目して、密着したドキュメンタリー『まぜこぜちづる』を作ったことがありますが、その東さんが取り組んだ映画が10月、東京と京都で上映が始まりました。11月に入ると、福岡や大阪、広島の映画館でも上映されることになっています。

社会派コメディサスペンス?

映画『まぜこぜ一座殺人事件』=(C)2024一般社団法人Get in touch

どんな映画なのか、まず東さんに聞いてみました。

東ちづる:「社会派コメディサスペンス」ですね。義足や車いすやダウン症、自閉症、ドラァグクイーン、こびとさん、ありとあらゆる特性のあるプロのマイノリティ・パフォーマーたちの座組みなんですけれども、そこで座長・東ちづるが殺されたのではないかという事件が起こる。その容疑者を巡ってのストーリーです。

神戸:笑わせながら、社会のことも考えてしまうようなストーリーになっていたと思いますけど、作った狙いは?

東:私自身、説教くさいものは嫌なので。映像でも舞台でも、必ず笑い、発見、感動を…。そして最後にモヤモヤがいつもおみやげとして発生するようにしているんですね。人それぞれで多分違うと思うんですが、そのモヤモヤと向き合っていくと、今の家族とか、学校とか、会社とか、地域とか、社会とかが見えてくる…というのを目指しています。

「社会派コメディサスペンス」ということで、いろんなものがミックスされています。

(予告編より)「東ちづる殺人事件……大スクープ…!?」

さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい! 一度見ておけば孫の代までの語り草、30年以上にわたり社会貢献活動を続けるかの俳優、東ちづるが殺されたってお話だ!

容疑者は、東が座長を務める「まぜこぜ一座」の特性豊かな曲者たち。奇想天外、奇妙奇天烈。ケダモノなのか化け物なのか? 異星人か妖怪か? 男か女か? 天使か悪魔か? 百花繚乱タリラリラーン!

見世物たちが見せつけるタブー満載、抱腹絶倒、マイノリティの心の叫びがここにある!ダイバーシティとか言う前に、まずはお近くの劇場までお立ち寄りください。まつりのあとのあとのまつり、「まぜこぜ一座殺人事件」、始まり、始まり~! ん? なんじゃこれ!?

座長を殺したのは誰か?=(C)2024一般社団法人Get in touch

軽快な、色彩と音楽に満ちた映画になっていますが、元々東さんは、障害だったり、LGBTQだったり、そういった特性を持ちながら一級のパフォーマンスを展開するマイノリティを集めて「まぜこぜ一座」を作って舞台で公演。今回は映画という形にして挑戦しています。

監督:齊藤雄基
企画・プロデューサー・キャスティング:東ちづる
脚本:エスムラルダ
出演:東ちづる、大橋弘枝、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以、石井正則、芋洗坂係長、山野海