男への求刑はー

検察側は「違法性を認識しながら看板を外すなど、犯行に一定の計画性が認められ、軽度の知的障がいがあるものの情状を酌むべき点は少ない。身勝手な動機のうえ、短期間で同様の手口で犯行したことで再犯のおそれがある」などとして懲役1年6か月を求刑。

対する弁護側は「捜査段階から犯行を認め、謝罪している。自身の問題点を理解し、再犯しないよう深く反省している。父親の監督で再犯防止が期待できる」などとして執行猶予付きの判決を求めた。

裁判所の判断はー

9月に行われた判決公判で、裁判官は「『売り物件』の看板を外し、自分の表札を設置するなど犯行は悪質で、物件は販売価格を下げないと販売できなくなるなど結果も重大」と指摘しました。

一方で、「物件は父親が以前の販売価格で買い取り、被害は相当程度回復している。被告は反省もしている」として、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。

「自立したい」ー親としては喜ぶべきその思いの先に起きた、常軌を逸した今回の犯罪。自立すること、それを見守ることの難しさを今回の事件は問いかける。息子の自立心が持つ大きなリスクを背負いながら、父親の見守りと葛藤は続いている。