■彗星の尾の秘密

一つは、ガスが作る「イオンの尾(または、プラズマの尾)」です。放出された電気を帯びたガス(イオン)は、太陽風に流されて太陽とは反対の方向に細長く伸びます。

もう一つは、塵が作る「ダストの尾(または、塵の尾)」です。放出された塵は、太陽の光の圧力(光圧)を受けて太陽とは反対の方向に伸びますが、塵のサイズによって圧力の受け方が異なるために、彗星の軌道面に広がった幅のある尾になり、イオンの尾とは異なる様子になります。

一部の粒の大きな塵は、彗星と同じように彗星の軌道を周回し続けます。これが流星群のもとになるのです。

このような彗星のコマや尾が目立って観測され始めるのは、彗星が太陽からおよそ1天文単位前後 、つまり地球の軌道程度まで近づいてからです。

彗星が太陽に近づくほど本体から放出されるガスや塵の量が多くなるため、コマは明るくなり、尾も明るく長く伸びます。

しかし、太陽に近づいた際に、どの程度明るくなるか、地球からどのように見えるかは、彗星本体のサイズや表面の状態、成分、さらに地球との位置関係によっても異なるため、正確な予測は難しいのです。

※彗星の周回イメージ画像 国立天文台