1つの絵を2人で描く…ちょっと不思議でエネルギッシュなアート展を、絵を描くことが趣味というHBC森田絹子アナウンサーが取材しました。

 鮮やかな黄緑と青の水彩画の上に描かれた少年。きらきらと輝くような、澄んだ瞳が印象的です。
 実はこの作品、知的障害のある子どもとアーティストが共同で制作しました。子どもが描いた絵をベースに、国内外のアーティストが感じたインスピレーションで絵を描き加えた「コラボ作品」です。

「ONE ART」を取材するHBC森田絹子アナウンサー

 全国各地で開催されている絵画展「ONE ART(ワン・アート)」が、8月に札幌でも開催されました。全く違った2つの感性で描かれる不思議でどこかエネルギッシュなアートの数々が並びます。

障害のある子どもが描いた原画
アーティストが描き加えると

 会場に1人の男性がやってきました。
「ちーすっ!けみです!」

 障害者とアーティストのコラボ作品の展覧会「ONE ART」を手掛ける、けみ芥見(けみ あくたみ)さんです。
 パリ・ニューヨークなどを拠点に世界的に活躍するアーティストで、独特な感性で作り上げる作品が評価され、パリコレに参加したこともあります。
 初対面でもあっという間に相手との距離を縮めてしまう、フランクな人柄に引き込まれます。

「ONEART」を手掛けるアーティスト、けみ芥見(けみ あくたみ)さん

 ONE ARTの作品は、ポップな印象のものからダークなイメージのものまで、様々なテイストが並び、ひとつとして同じものがありません。
 けみさんは「コラボしているアーティストの数だけ世界観がある」と言います。

「ONE ARTがすごいアートだなと思っているところは、最初『原石』があって、そこにコラボがある…これでひとつのカルチャーじゃない?この時点でアートは完結している」

こちらも障害のある子どもが描いた原画
アーティストが描き加えると

 作品は、企業や個人にレンタルして、その売り上げの6割が「奨学金」として絵を描いた子どもの家族に届けられています。
 2016年の活動開始から7年、家族に届けられた奨学金は総額でおよそ730万円に上ります。