かつての「黄金時代」が生んだ誤解

 なぜ、日本では民間企業が路線バス事業を担ってきたのでしょうか?

 背景には、1960年代後半~70年代にかけての「黄金時代」がありました。高度経済成長期には、人口増加や山間部の都市化が進み、バスの需要が急増していました。

 日本は、『人口密度』が高く、バス路線を効率的に運営することが可能だったため、民間企業でも十分に採算が取れました。この状況下で、地元の名士たちがバス事業の収益性に目をつけ、次々と参入していきました。有名な政治家である田中角栄氏も、越後交通の社長を務めていたほどです。さらに、バブル期には、バス会社が保有する土地の値上がり益によって、赤字経営を補填することもできました。

 しかし、これらの状況は、あくまでも「特殊な時代」のものでした。バブル崩壊後、人口減少などの進展により、バスの利用者は減少の一途をたどりました。