■英国君主として初来日時「新幹線は時計より正確」に緊張走る

皇室だけではありません。
もちろん日本国民、一般庶民にも温かく歓迎された出来事がありました。
1975年、都内約2キロをオープンカーでパレードするということがありました。沿道ではエリザベス女王を11万人超が歓迎したということです。
この来日時、エリザベス女王は東京のNHKで大河ドラマの収録現場を見学されたり、国会議事堂を見学されたりしました。他にも京都、三重、愛知などを訪問されました。
そして、エリザベス女王(当時49)は皇居で行われた宮中晩餐会でこんなスピーチを行いました。日本とイギリスには共通点があるということを見つけられたそうです。

エリザベス女王(当時49)【宮中晩さん会でのスピーチより】
「両国の国民には多くの共通点があります。庭を愛し、車は左側通行すること。特に似ているのは、愛情表現が控えめでも、相手を思いやることの出来る気質です」
この来日時、緊張が走った瞬間があったそうです。
女王が名古屋から東京に向かう新幹線に乗り込むときに、「新幹線は時計より正確だと聞いています」と話されたんです。これが後にかなりプレッシャーになってくるわけです。
既に名古屋を出発するとき、大雨などの影響で3分遅れていました。

しかし、「時計より正確」と言われてしまいました。必ず正確に東京に着かなければならないというふうに考えたわけです。
その遅れを取り戻すために、スピードを何とか早く保たなければならない。しかし当時、新幹線の最高速度は時速210キロ。時速210キロに到達すると、自動制御装置が作動し減速してしまうので定刻通りしっかり到着するために、時速209キロで走行を続けました。

いつも通りに走行していては間に合わないということで、かなり急いだそうです。その結果、定刻午後1時56分に東京に着くことができました。この209キロを保ったまま走行し続けるというのは、かなり大変なんだそうです。
そして、ただスピードを速く保っただけではないのです。
やはり富士山をしっかりと見てほしいということで、富士山の近くではスピードダウンしたそうです。富士山を通り過ぎたらしっかり定刻に着けるようにまたスピードアップを繰り返し、予定通りに到着できたというわけです。

井上貴博キャスター:
この運転手さんの高い技術力にも感服します。ある調査では「イギリス国民の3人に1人はエリザベス女王に直接お会いしたことがある」っていうアンケート結果があるということは、やはり徹底的に国民に寄り添い続けた方でもあったと言えそうです。今どんな思いがありますか。
慶応大学特任准教授 若新雄純さん:
僕、王室とか王様にはすごく興味があって、最近のニュースを見てると、国とか国境とか平和ってものがいかに脆くて、それが不確かなことかということを感じますよね。その上で、その民主主義の限界みたいなものを補う存在として、王室の存在意義ってすごく高い。でもそれは後から新たに作ろうと思っても歴史あってのこと。みんながそれをちゃんと認識して信じてることが前提だと思うので、簡単に後からは作れないものだと思うんです。そういった民主主義の限界、特に民主主義を進めれば進めるほど対立が起きて、分裂も起きかねないわけで、その上でもみんなの思いを統合するという存在の価値を考えていくことは、日本の皇室の話にも繋がると思うし、それを庶民的なものにしてフレンドリーにするってことがいいのか、あるいは逆に神格化したままにしておくのがいいのか、その辺もまだ僕ら実は考える余地があると思うんです。
イギリスは一定オープンにして、スキャンダルも含めてフレンドリーにするってことをしつつも、王室の価値を保った。一方で日本はまだそこはちょっと不可侵のところがあって、でもこれからどうするかって議論も始まっているそうです。皇室も情報発信すべきか、とか。そのあたりでもイギリスを通して僕らが学ぶことや考えることはあると思っています。














