▽電話口の男
「この事件は非公開捜査中で、最寄りの警察署にこの情報を伝えたとしても、おそらく刑事さんは何のことか全く理解はしていないかと思います」

男は食い下がったが、最終的にはあきらめ、電話は切れた。

“詐欺電話”の生音声… 特徴は

取材にあたった神里記者は今回の詐欺の特徴をこう解説する。

ー女性は全く身に覚えがないマネーロンダリング、資金洗浄への関与が疑われていると不安をあおられ、個人情報を聞き出されるところでしたが、冷静に対応し被害を免れました。

今回の電話は最近被害が多い特殊詐偽の典型的な手口だとみられますが、1つ特徴がありました。着信があった携帯電話の画面をよく見ると、日本国内からの発信ではなく、アメリカ合衆国からの発信を示していたんです。この点を不審に思った女性が問い詰めると、電話をかけてきた人物は次のように話しました。

「詐欺電話」はアメリカからの発信と表示された


▽電話口の男
「容疑がかかっている方に我々警察の番号を通知しておかけした場合、取らない可能性、逃亡される危険性が非常にあったため、今回このような対応をとらせていただいております」

ーなんとも苦しい言い訳です。実は、国外から電話をかけるというのも、こうした詐偽の特徴の1つです。

また電話の冒頭で、「誰もいない状況でないとお電話でお伝えすることができない案件です」と、女性が1人になるよう促しています。通話中に第3者に相談したり、不審がったりしないよう、他人の介入を避ける狙いがあったとみられます。

今回の女性は被害を免れましたが、同様の別のケースでは、無料通話アプリLINEを使って偽の逮捕状を示された30代の男性が600万円をだまし取られるなど、多くの被害が出ています。いつ自分にかかってきてもおかしくないと考え、警戒する必要があります。