12通貨に対応「外貨両替機」 海外へ輸出も…目指すは「両替インフラのスタンダード」

アクトプロはすでにこの外貨両替機を海外に輸出している。さらに70か国と商談を行い、「両替インフラのスタンダード」を目指している。

アクトプロは2016年に外貨両替機事業に進出。インバウンドの増加とともに、設置台数を増やし、現在は650台以上とシェアトップを誇っている。そして2026年には1000台を見込んでいる。

――旅行先で現金を持っていないのは不安なのか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
非常に日本的だと思う。まずこれだけ両替機が日本で求められているということはその裏返しで、日本はまだキャッシュレス決済が進んでいないということ。私は2週間前にイタリアに行ったが、現金はチップぐらいでほぼ一切使わなかった。それで事足りてしまう。しかし、日本、とくに地方部に行くと、未だにタクシーでも現金を求める運転手はいるし、寺社など拝観料は全部現金。屋台なども全部現金。キャッシュレス決済が進んでないことの裏側でこういうビジネスが出てきている。あともう一つは、日本の治安がいいということがある。海外だとお金が入っていて、小さいからすぐ壊されて持っていかれると思う。だから日本の治安の良さを反映している。

外国人の方々が日本で何が不便かと聞いたところ「無線LANがない」というのはよくわかる。「コミュニケーションが上手くできない」「目的地までの公共交通の利用方法」などいろいろあるが「両替場所がない・クレジット利用できない」というのがある。

10月に入り、中国の国慶節で多くのインバウンド客が来ている。2024年8月の訪日外国人数は293万人となった。月ごとの過去最多を7か月連続で更新している。

訪日外国人の消費額は半年だけで3.9兆円で、2024年は8兆円と過去最高額が見込まれる。

――インバウンドは最大の成長産業なのか。

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄氏:
「これから日本は『シニアG7』を目指そう」といっている人がいる。G7は経済大国だが、勢いがあって経済成長している国がやることであり、これからそういうのはインドなどに任せる。ゴルフもシニアプロとかあるが、日本は一段高い、シニアで成長する国、ゆっくり成長する国になればいいのではないか。日本以外だとフランス、イタリア、スペインあたりは全部観光立国。そう考えると日本は、1000年以上の歴史があって文化が強いからここをうまく使って、文化大国として、観光インバウンドを主力産業にしていくというのは、ある意味当然の打ち手だと思う。

(BS-TBS『Bizスクエア』 10月5日放送より)