ベビーカーが置ける「緑の座席」子ども連れに優しい車両を

今年1月。喜多さんがやってきたのは、東大阪市にある工場。新型車両の製造が着々と進んでいました。
(近鉄 喜多陽平さん)「紙の図面から始まって、台枠ができて、これから六面体(車体)になると思うと、いよいよですね」
この日は、電車の印象を大きく左右する“先頭車両”の作業に立ち合います。大部分は人の手で行われ、パーツを作るところから組み立て完了まで約3か月を要します。投資額は89億円以上。第1弾で48両を製造する、まさに一大プロジェクトです。ここまで力を入れるのには、ワケがありました。
(近鉄 喜多陽平さん)「沿線人口の減少という課題もあり、我々もお客さまに喜ばれるサービスを提供していかないといけないですし、お客さまも満足していただけないので」
人口減少やテレワークの普及などで、今後減っていくと見られている通学・通勤客。車両を一新することで利便性を高め、様々な客を取り込みたいという近鉄の思惑があります。
そのカギを握るのが、一風変わった“緑の座席”です。背もたれが2面あり、足もとには広めのスペースを確保。大きな荷物やベビーカーを持っていても快適に利用できます。また、スーツケースなどが動かないようにストッパーもつけました。通勤客だけでなく、子ども連れや旅行客など誰でも利用しやすい車両を目指します。
(近鉄 喜多陽平さん)「大きい荷物を持っている人は、どこに座ったらいいのかわからないとか、荷物を通路に置いて座ると、行き来の邪魔になったりしますし、『自分が邪魔をしているな』と気兼ねしてしまうので、そういった点を解消するためにこのエリアを作りました」
ほかの部署の社員にも協力してもらい、開発中の座席について感想を聞き取ります。
(他部署の社員)「こう座るかな」
(喜多陽平さん)「(座りながら)荷物はずっと持っていますか?」
(他部署の社員)「普通のキャリーケースって、手で持っていないと、コマが坂道とかで転がっていくから、必ず手は添えておきたい」
(喜多陽平さんさん)「(ストッパーが)床にあるんですよね…」
(他部署の社員)「あ!L字のものがあるじゃないですか」
(喜多陽平さん)「(ストッパーを使用して)いかがでしょう?」
(他部署の社員)「がっちり止まってますね」
(子育て中の社員)「ベビーカーや大きな荷物を置けるスペースがあるのは、お出かけの際に電車を利用する障壁を取り除くのにも新しい試みとしていいのかなと思いました」
スペースの評価は上々。さらに、新たな気づきもありました。
(喜多陽平さん)「なにも説明せずに使ってもらったんですけど、レクチャーがなくてもこのスペースは使えそうですか?」
(子育て中の社員)「いや、それが…わかるかな?と」
足もとに設けた、荷物を置けるスペース。認識してもらうには、もうひと工夫いりそうです。














