通園バスで置き去りにされた園児が死亡した事件。運転していた理事長は会見で「不慣れだった」「後ろ側は見えなかった」などと説明しました。園は置き去りにされた園児を“無断欠席”と認識していたなど、ずさんな管理体制が明らかになりました。一方、海外では、バスでの置き去りを検知するシステムの導入を義務化する動きが進んでいます。

■水筒は“空っぽ” 園児が助け求め動き回っていた可能性

9月7日午前10時から川崎幼稚園が開いた保護者説明会では、3歳で亡くなった河本千奈ちゃんの父親が参加者の前に立ちました。



千奈ちゃんの父親
「副担任は『千奈ちゃんいないですけど欠席になっていませんよ』と言いました。そうしたら担任の方はそれを聞いて『本当だね、おかしいね』と言いました。明らかな過失です」

通園バスに5時間置き去りにされた3歳の千奈ちゃん。温度が上がった車内で1人、助けを求め、動き回っていた可能性があることがわかりました。


千奈ちゃんは初め、後ろから2番目の席にいましたが、見つかった時は前から3列目辺りに倒れていたといいます。千奈ちゃんの死因は重度の熱中症。バスからは千奈ちゃんの水筒も見つかっていますが、中に飲み物は残っておらず、空になっていたそうです。


■父親の話聞き…保護者13人“過呼吸”で搬送 説明会中止に

突然3歳の娘を奪われた父親は…

「ふざけるなと。悔しくてたまりません」

この間、複数の参加者が過呼吸のような症状を起こし、消防が女性13人を搬送。説明会は中止されました。


山本恵里伽キャスター
「保護者の方が続々と園から出て行きます。皆さん、顔をおさえ、目元をおさえ、涙を流しながら降りていきます」

当時、会場では千奈ちゃんの父親がこう話していたといいます。

説明会の参加者
「(千奈ちゃんの父親が)『バスに乗っている中で家が一番近いから、バスを降りるにしても一番最後に降りなさい』と、千奈ちゃんを教育されていたと。『この子は一番最後まで座って待っていたんだと思う』と話して…そしたら保護者の一部に過呼吸の症状が出てしまって」


千奈ちゃんは感染対策のためバスではお話をしないよう言われていたということです。

■「すごく懐っこくて…すごく可愛いお子さんだった」

7日午後に開かれた記者会見では…

川崎幼稚園 増田立義理事長
「亡くなられた園児およびご遺族に心よりお詫び申し上げます」


ーー千奈ちゃんが見つかった時、水筒が空っぽだったと聞いてどう感じているか。

川崎幼稚園 増田理事長
「本当に苦しい思いをさせて申し訳なかったなと今は感じております。暑い中、よくあんな中でいて本当にかわいそうだったなと感じております」

亡くなった千奈ちゃんは「おつかいありさん」という歌が、お気に入りだったそうです。

川崎幼稚園 杉本智子副園長
「慣れてくるとすごく懐っこくて、笑顔もすごく可愛いお子さんで…。歌もすごく好きで部屋でCDで音楽をかけているとよく歌っていた。すごく可愛いお子さんです」