■「後ろの方は見えなかった」“臨時”運転手の理事長はミス度々…
園の説明で分かったのは、千奈ちゃんを助けるチャンスは何度もあったこと。助けられる大人は何人もいたということです。
当日の朝、増田理事長は臨時の運転手を務めていて女性職員と2人でバスに乗っていました。本来、乗り降りの際に園児を確認する決まりでしたが、2人ともチェックしなかったといいます。
川崎幼稚園 増田理事長
「ドアの方は見ました。でも後ろ側は見えないんですね、運転席から。補助の人にお任せしているから、そこまでは気が回らなかったです」

さらに、園児が車内に残っていないかの確認も怠ったそうです。
園の説明によると原因は業務に不慣れであり、かつ高齢な理事長がバスの臨時運転手を務めたこと。しかし以前から、お迎えに行くはずの園児の家を通過したり、バスで帰るはずの園児を園に残したりしたことが度々あったといいます。
ーーたまたま起きたのか?それとも起きるべくして起きたのか?
増田立義理事長
「両方だと思います」
■勝手に“無断欠席”と認識 ずさんな管理体制 明らかに
バスを降りるときに理事長が確認しなかったミスがあったとしても、その後、気付くことは出来なかったのでしょうか?会見では園のチェックシステムが機能していなかったことが明らかになりました。
ーー給食の時などは気付かなかったのでしょうか?
川崎幼稚園 杉本副園長
「来ていないというのは把握していた。来ていなかったところで確認をしなかったというところが大きなミスだったということになると思う」

園では千奈ちゃんが“欠席”と認識していたのです。
この園では登園の確認にアプリを使っています。保護者は欠席や遅刻する場合、アプリを使って園に連絡を入れます。

当時、千奈ちゃんのクラスの欠席者は2人。千奈ちゃんは出席となっていました。なぜ“欠席”となったのでしょうか?

川崎幼稚園 杉本副園長
「登園してこない場合も、その日は連絡なく休む園児もいたため、被害園児もきょうは休みなのかなと考えてしまった」
無断欠席と認識したというのです。しかし、千奈ちゃんはバスに乗っています。その情報は共有されなかったのでしょうか?ここでも園はミスをしています。
川崎幼稚園 杉本副園長
「クラス補助(の職員)が最終の登園情報を確認していなかった。バスで(登園情報を)打刻するタイミングよりも早く確認してしまったため、その園児の打刻情報を反映する前、まだ出席になっていなかった状態のときに確認した」

本来ならバスの乗務員からの登園情報を受け、最終的な出欠確認を行います。しかし事件当日は、バスからの登園情報が来る前にクラス補助の職員は出欠を確認。その後も、バスからの登園情報を確認しなかったため、千奈ちゃんがバスに乗っていたという情報は園で共有されませんでした。
登園する予定の園児が来ていなかった場合、保護者に連絡して確認するはずでしたが、同席した弁護士によると…
川崎幼稚園の弁護士
「保護者に電話しても出ないとか、『ごめんなさい、忘れてました』という場合が結構多くあったらしい。そういうのがあって徐々に“来てない場合は必ず確認する”というのがちょっとずつ疎かになっていった」

こう説明しましたが、千奈ちゃんはこれまでに無断欠席はあったのでしょうか?
川崎幼稚園 杉本副園長
「連絡無く休むことが千奈ちゃんの場合は無く、お母さんが連絡をしていたということがあるんですが、この日、担任は休みなのかなと思ってしまった」
明らかになったずさんな管理体制。本来なら様々な場面で確認できたはずが、全ての場面で園はミスを犯していました。会見を聞いた保護者は…
会見を聞いた保護者
「ほぼ副園長が話をされていたので、理事長の口からもうちょっと聞きたかったなと。園として出来ていない部分もあったのかなというのは感じました。ただ今回これでそういうところがはっきりしたと思うので、今後はそういうことが改善されていくのかなとは思います」

増田理事長は責任をとって理事長と園長を辞める考えを示してます。
川崎幼稚園 増田理事長
「昨日もご遺族の方にお詫びを申し上げていきました。私の言葉も足らなかったので納得されない部分もあるし、納得して頂いたところもあります」