腕相撲を競技化したスポーツ、アームレスリング。スタートの一瞬が勝敗を左右する絶妙な緊張感から、『世界最速の格闘技』や『世界一小さな格闘技』とも言われています。腕相撲との最大の違いは、世界的な基準が設けられていること。世界アームレスリング連盟には40カ国以上が加盟し、日本にも北海道から沖縄まで支部が存在するなど、競技人口はおよそ3000人を数えます。
 
「沖縄には力自慢がいっぱいいるわけ。磨けばすごいのが。そういう人に力からテクニックとかみんな教えるともっと上に行くんじゃないか。」

こう語るのは、武島多加雄(たけしまたかお)さん(50)。先月8月に与那原町にオープンした沖縄初のアームレスリング専用ジム“タヤ道場”でオーナーを務めています。『沖縄の競技力向上』と『地域活性化』を目指し開設した道場で、“タヤ”は武島さんの出身地、宮古島の言葉で“力持ち”という意味。

タヤ道場にはアームレスリングの練習に特化した器具やマシンが充実しています。

タヤ道場 武島多加雄オーナー
「来年の今頃は日本チャンピオンがあと2、3名生まれると思う。それだけの素質がある人が、やればできる人が何名かいる。」

普段は不動産会社を経営している武島さん。

「よし、午後6時か。終わり。練習に行くぞ!」

職場から道場に移動すると、まずはウォーミングアップのベンチプレス。いきなり100kgを上げてしまいます。

タヤ道場 武島多加雄オーナー
「僕からして100kgはあんまり重くはない。笑」

それもそのはず。実は武島さんは、パワーリフティング・マスターズの日本記録保持者。
250kgでスクワットをしてしまうなんて驚きです。

せっかくなので、どれほど強いか体験してみましたが-、全く歯が立ちません。
アームレスリング界ではトップだと豪語する武島さんの上腕。その太さは驚異の53cm!

武島さん
「これが太くてもアームレスリングは勝てるかわからない。だからアームは奥が深い。」
Q武島さんよりも腕が細い人に、負けることもある?」
武島さん
「あるある。だからアームはそれがまた楽しい。」


強さの秘訣を聞くと、勝つためのポイントは試合開始直前にあるといいます。

武島さん
「いろんなテクニックも必要。握りから戦いが始まっているから。握らせない人もいるから。」

これだけのパワーと技術を兼ね備えている武島さんですが、身近にもっと上がいるとのこと。その人物というのが金城晃さんです。2人が勝負してみると…

武島さん
「動かへん‥。これが日本。」

武島さんの全力にビクともしなかった金城さんは、現在のアームレスリング日本チャンピオンなんです。


その体格は身長188cm、体重110kg。私は両手で戦ってみましたが、例によって歯が立ちません。

日本王者 金城さん
「武島さんはブランクがあるんですよ。3、4年くらい休んでいたので」

武島さん
「これが日本チャンピオン。やっぱり人間上には上がたくさんいる」

沖縄をアームレスリングで盛り上げたいと、武島さんが率先して開設したタヤ道場。
専用ジムの完成は、選手たちのモチベーションへと変わりました。

日本王者 金城さん
「自分たち沖縄のアームレスラーはこういったジムがほしかった。沖縄のアームレスリングの底上げに大きくつながる。僕が一番求めているのが、一人で強くなるよりみんなで強くなったほうが一番良いのじゃないかなということで。沖縄の方言でゆいまーるですね。」

誰でも気軽に始められるアームレスリング。卓上の格闘技に魅せられた武島さんには目標があります。

武島さん
「みんな金城晃(日本チャンピオン)の背中を追いかけて、沖縄からたくさん、各階級で全日本チャンピオンが出るよう、あと1、2年くらいで。3、4年後ではなくてあと1、2年くらいで早いうちに作って「アーム王国」にしたいと思っている。」

宮古が生んだ不屈のオーナー武島さん。ジムに続いてアーム王国を作るため、夢を追い続けます。