■「ロシア経済は、地獄の1丁目に差し掛かってる。」


『イズベスチヤ』という新聞がある。ソ連時代の政府機関紙で、今も政権寄りの姿勢を続けている。その新聞で軍事侵攻に関する記事が減ってきている。1面トップでウクライナ情勢を伝えた回数を数えた。すると、今年3月4月は90%がウクライナ関連だったのに対し、6月は50%。7月には30%を切った。ここに見える政権側の思惑とは?

防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「国民が戦況に関心を向ければ、リベラル、右派両方からいずれ批判される。いつまで軍事作戦をやるのか。犠牲の実態は伝えなくても徐々に国民の知るところとなる。世論を喚起しないために報道を減らしているんじゃないか…」

戦争に目が向けばどっちに転んでもプラスにはならない。関心を持たせないに越したことはないのだ。一方で増えている報道もある。

朝日新聞社 駒木義明 論説委員
「私自身もロシアのテレビを見ているんですが、戦争そのものをニュースで扱わなくなっている印象を持っています。戦争を扱うんじゃなく、ザポリージャ原発をウクライナ軍が攻撃したとか、ロシアへの経済制裁で欧米が物価高で困っているとか…。ロシア経済も多少行き詰まっているが、敵はもっと苦労しているとか。」


プーチン氏としてはロシア国内の不安を払拭し、反戦ムードを抑えることが最大の課題だ。来年には事実上大統領選がスタートする。戦争の行方とともに、今後、ロシア国内の経済の行方が左右することになる。

ロシアNIS経済研究所 服部倫卓 所長
「私は間違いなくロシア経済はこれからどんどん悪くなると思う。地獄の1丁目に差し掛かってる。プーチンとしては選挙までだましだましやっていくんでしょうけど、どこかの時点でボロが出始める。そのボロが出るタイミングと選挙のタイミングに個人的には注目しています」

(BS-TBS 『報道1930』 9月1日放送より)