列島に大きな被害をもたらした台風10号では、各地で土砂崩れも相次ぎました。実は、土砂崩れが起きる背景には、豪雨などによる「自然災害」だけでなく、人為的な側面もあることが指摘されています。

台風での土砂崩れ被害 人災の側面は?「林業での伐採方法が一因」

8月27日、土砂崩れに巻き込まれ、家族3人が犠牲となった愛知県蒲郡市。発生から一週間あまりたった9月4日、県は専門家と共に現地を調査しました。

名古屋大学 田中隆文客員教授
「今回の崩壊の一番の特徴は、ここでしか発生していないこと。崩壊の最上部から水による浸食を受けていることが注目された」

豪雨により各地で相次ぐ土砂崩れ。ここ数年、その理由として自然災害だけではなく、人災の側面も指摘されています。

土砂崩れの原因は様々ですが、東京大学の蔵治光一郎教授は、林業での伐採のやり方が一因となる可能性を指摘します。

東京大学 蔵治光一郎教授 
「こういう急斜面での木材生産は非常に危ない。やった後のリスクというのがある」

数十年かけて森で木を育てる林業。伐採の際は、通常、大型重機で一気に木を伐ります。“木を皆伐る”=「皆伐」と呼ばれるやり方です。

土砂崩れのリスクが高まるのはその後。残された切り株の中が腐り、次々と空洞になるというのです。

蔵治教授 
「切り株の力で地面が支えられていて崩れないようになっているが、空洞になったら、水が入るので崩れちゃう。皆伐の一番の危険性は切り株の腐った直後。その後は、植林した木が大きくなって、植林した木の根で支えるので、また大丈夫になっていくが」

さらに、皆伐に伴う「ある作業」も土砂崩れのリスクを高めるといいます。