こちらの金屏風は、2年前に広島市の原爆資料館に寄贈されたものです。79年前の原爆投下後に降った「黒い雨」の跡がくっきりと残っています。
この金屏風を使って、未だ分からないことが多い「黒い雨」を解明しようという研究が動き出しています。
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「黒い雨」の跡が、無数の筋となって残る金屏風ー。

京都大学複合原子力科学研究所 向井中 研究員
「この中に入っているのが『金屏風片』です」
小さく切り取ったその一片から「黒い雨」の “正体” を探ろうという研究が進んでいます。

金屏風は2年前、原爆資料館に寄贈されました。爆心地から3.6㎞にある広島市西区の民家で保管されていました。
この日は9月から始まる一般公開を前に、大きさや状態を念入りに調べました。
原爆資料館 落葉裕信 学芸係長
「転倒しないように少しここに、支えのようなものを作って倒れないようにするか…」

金屏風には「黒い雨」が降りかかった跡がくっきりと残っています。
原爆投下後に降った「黒い雨」。泥やチリのほか放射性物質を含んだ、黒く粘り気のある雨です。

火災が起きた広島の町に容赦なく降り注ぎ、のどの渇きのあまり口にしたという証言もあります。
しかし、雨が降ったエリアや人体への影響などいまだ全容は解明されておらず、そのこん跡を残す資料も多くはありません。

原爆資料館 落葉裕信 学芸係長
「『黒い雨』の跡が残る資料はなかなか資料館の方でもはっきりと跡が残るものは少ないので、まだこういった資料が保管されて残っているのはすごく驚きましたし、すごく貴重な資料だと感じました」
