無限連鎖講の禁止

このままでは被害者は増え続ける一方です。そこで1978年、議員立法で『無限連鎖講の防止に関する法律』が制定されました。
天下一家の会が設立されてすでに10年以上が過ぎていました。

通称「ネズミ講禁止法」。この法律ではじめてネズミ講自体が犯罪となりました。

同年、阿蘇にできた天下一家の会新本部・通称ネズミ・ピラミッドは、新会員の募集もままならぬ中、すぐに廃墟になったといいます。

翌1979年、法が施行されるとともに天下一家の会は解散。100万人以上の被害者を出した「天下一家の会事件」はようやくここで終焉をみたのです。

ネズミピラミッドはその後解体され、跡地はバラ園になりました。

ネズミの子孫がうじゃうじゃと

しかし、会長亡き後も同工異曲の犯罪は続々と出てきます。
たとえば天下一家の会の初期から組織を取り仕切った理事のひとりは「国利民福の会」という現金の代わりに国債を用いた無限連鎖講を始めます。

国利民福の会は天下一家の会のやり方をそのまま踏襲したといいます。

もちろん最後に破綻しました。いわば必然です。
このときの被害者は1万人、被害額は約37億円にものぼりました。

しかし、これで終わったわけではなかったのです。野に放たれた子ネズミたちは、ターゲットを大学生に絞ったり、商品を媒介にしたりしながら、ネズミ講もどきの詐欺犯罪を続けました。

今もそれは同じです。彼らは手口を「今風に」変えて「マルチまがい商法」「投資詐欺」などとして、今もなお虎視眈々と被害者を狙っているのです。

『上田晋也のニッポンの過去問』しらべ

詐欺は世につれ変化します。

現在は暗号資産(=仮想通貨)などの新しい小道具を用いた「マルチまがい」や「ポンジスキーム(計画破綻詐欺のひとつ)」などが水面下で蔓延しているといいます。

くれぐれもお気をつけを。