──そもそも、コバエというのは小さいハエの総称ですよね?具体的には、どのようなコバエが食卓に寄ってきやすいのか教えてください。
「一番多いのは、ノミバエとショウジョウバエです。ノミバエは料理全般、特に動物が腐ったものに好んでやってきます。すたすた歩くのが得意で、料理やテーブルや食器の表面を移動していれば、ノミバエの可能性が高いでしょう。
一方でショウジョウバエは、お酒や発酵したものに誘因されやすいです。ふわふわ飛んで、やんわり料理に止まって、あまり歩きません」
──かつて自分が目撃したコバエは、しつこく料理の上をうろちょろしていたので、ノミバエだったのだと思います。やはり少なからず、影響はあるのでしょうか。
「コバエは汚い排水溝やトイレなどに止まっているので、足や口についたバクテリア(細菌)を料理に運んでくる可能性は、完全に否定されるものではないですね。
ただ、料理に数秒止まったくらいで、健康被害が出るようなレベルまでバクテリアが移ることは考えにくいと思います。私だったらコバエが料理に止まっても、払ってよけて食べてしまうかもしれません」
──実は自分も、コバエが止まった料理を「ええい、ままよ」と口にしたことがあります。捨てることへの罪悪感と、もったいなさが勝ったといいますか…。幸い、それでお腹を壊すことはありませんでした。
「食べてから数時間や1日経っても問題なければ、コバエの影響はなかったということになるでしょう。結果論になってしまうのですが…」
──仮にコバエではなく、大型のハエだとリスクは変わってきますか?
「イエバエやクロバエといった大型のハエは、赤痢やチフス、O-157を媒介する可能性があると昔からいわれています。コバエより口吻が大きい分、持っているバクテリアの数も違うとは思うのですが、明らかにハエが原因で食中毒を発症したという文献は存じ上げません。
いずれにしてもコバエ同様、料理に止まった瞬間に細菌が移行し、そのまま汚染させてしまうことはありうる話です。
あとは体長が大きければ、それだけで不快感の要因になりますよね」