元看護師の夫婦が2022年2月、大分県由布市に古民家カフェをオープンしました。1人暮らしの高齢者や認知症の人が地域とつながる交流の場になるのが願いです。
豊かな自然に囲まれた由布市挾間町の古民家カフェ「パブリックハウスえてふぇて」があります。

オーナーの佐野真樹さんと妻の由香里さんはある思いから看護の現場を離れ、このカフェのオープンを決意しました。
(パブリックハウスえてふぇて・佐野真樹さん)「身体的なところと活動の部分と社会参加の部分が全てうまく機能して健康って成り立つ。医療がするのは身体的側面が多いと思うので、もう少し行動すること社会に参加することというところにも看護師として関わる方法は何かないかなと思って」

看護師として人と触れ合う機会が少ない高齢者の姿を見てきた佐野さん夫婦。その経験から誰もが気軽に交流できる場を作りたいと2021年12月、カフェをオープンしました。

看護師の資格を生かし、2022年4月からは毎月第3木曜日に高齢者や認知症の人を介護する家族が相談や世間話をしながら交流できる「オレンジカフェ」を開いています。

(参加者)「もし自分が認知症になった時にどういう風に扱ってもらえたら」
(佐野由香里さん)「どんな風に自分が接してほしかという希望は、いまいっぱいためておいたら良いと思うし、それを誰かに伝えておくのは大事ですよね」

月に1度のオレンジカフェでの交流を通して佐野さん夫婦はこの古民家が気軽に身体や心の相談ができる「地域の保健室」になるよう目指しています。

(参加者)「周りの人に支えてもらわないとなかなかいまの世の中生きていけないから万が一認知症になった時など利用させてもらおうかなと」「主人が亡くなったんです。それで友人がカフェに連れてきてくれた。ここに来ると楽しくて忘れられる」
この日は地域住民による演奏会も開かれ、訪れた人が同じ空間で癒しの時間を過ごしていました。

(佐野真樹さん)「繋がりが少ない人は寿命が短いという研究もあったりするので、繋がりがどれだけ大事かというのを特にコロナ禍でみんなが認識したことじゃないかなと思います。地域の人にあそこにこんなところがあったから良かったなと思ってもらえるようになれるといいなと思います」

看護現場での思いや経験から生まれた参加型のカフェ。佐野さん夫婦は「地域の保健室」で会話から始まる笑顔をさらに多くの人と共有していきます。