AI需要で急拡大する先端半導体の開発量産で、日本メーカーの半導体材料への期待が急速に膨らんでいる。半導体製造の後工程でトップクラスのシェアを持つ半導体材料メーカー「レゾナック」の髙橋社長に話を聞く。
半導体材料「レゾナック」強さの秘密は“共創力”

レゾナックは、旧昭和電工と旧日立化成が統合して発足した半導体材料メーカー。半導体の製造工程は、ウエハーに回路を形成する前工程と、それをチップに切り分けパッケージ化する後工程に分けられるが、レゾナックは特に、後工程で使う材料6種で世界トップクラスのシェアを持っている。

半導体材料に求められる機能は、熱衝撃から回路を保護したり、絶縁性接着性、耐熱性など多岐にわたる。現在、自ら学習し、新しいコンテンツを作り出す人工知能生成AIの出現で、先端半導体の需要が高まっている。

そこで、高性能化の鍵を握る後工程で最も注目されているのが、先進パッケージング。異なる機能の複数のチップを並べ、積み重ねて1つのパッケージにする。今引き合いが急増しているレゾナックの後工程の材料に「ノンコンダクティブフィルム」という接着シートがある。

求められる機能は、メモリーを確実に接着しながら、背面から飛び出ている電極を下のメモリーに繋ぎ、電極以外の部分は電気を通さず、とことん薄く均一に。チップ同士が直接繋がることで、電気信号の距離が短く、従来より、計算能力の向上と低消費電力を達成している。

レゾナックの強みの源泉を探るべく、川崎市内の開発拠点を訪ねた。パッケージングソリューションセンターは、後工程に特化したオープン開発拠点。センター長は畠山恵一さん。
ここには、後工程の製造装置が全て揃っていて、材料を製造ラインに乗せて評価検証できることから、開発スピードが大きく向上したという。さらに、14社の共創コンソーシアム「JOINT2」を設立。社の垣根を越えて、次世代半導体の製造課題解決に挑戦している。
レゾナック 畠山恵一センター長:
世界から見れば日本は材料・装置、基板に関して非常に強い。本当にこの強さが未来永劫、キープできるのか、狭いフィールドの中での「競争」ではなく、皆さんと手を携えるコラボレーションの「共創」でその強さを維持・拡大していけるのが理想。

レゾナックが連し、半導体材料メーカーになるきっかけは、2020年4月に昭和電工が日立化成を買収したことだった。総額9600億円の買収劇を取りまとめたのが、当時戦略企画部長だった髙橋社長。2023年1月17日に行われたレゾナックの発足発表ではこんな宣言も飛び出した。

レゾナック CEO 髙橋秀仁氏:
私はこのレゾナックのスタートを第2の創業以上の、むしろ新しい会社を作り上げ、自分が創業者であるという気持ちでここに立っています。レゾナックは、石油化学を中心とした総合化学メーカーから世界トップクラスの機能性化学メーカーへ進化します。